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世紀のゲノム編集技術「クリスパー」、その特許紛争の気になる結果
なぜオリジナルの考案者が敗れたのか

あらゆる動植物のDNA(遺伝情報)を自由自在に書き変える、最新鋭のゲノム編集技術「クリスパー(CRISPR Cas9)」の特許紛争が一里塚に達した。

米特許商標庁(USPTO)は先週、クリスパー技術の基本特許を、事実上、米ブロード研究所に所属するフェン・ジャン(Feng Zhang)博士らの研究チームに与える裁定を下したのだ。

ただし彼らと争ってきたジェニファー・ダウドナ(Jennifer Doudna)教授らが所属する米カリフォルニア大学バークレイ校は、連邦控訴裁で引き続き争う公算が高く、最終的な決着はまだついていない。

今回の特許紛争は、特許商標庁の「特許法廷(Patent Trial and Appeals Board: PTAB)」において、一種の裁判形式で争われたきた。

その端緒から今回の判決(裁定)に至るまでの経緯、さらに今回の判決自体も非常に複雑で分かり難いので、以下、なるべく理解し易いように整理して説明したいきたい。

2015年10月、ニューヨーカー誌のイベントで顔を合わせたダウドナ氏(左)とジャン氏(右) 〔PHOTO〕gettyimages

クリスパーの誕生

もともと、クリスパーの発明者として衆目の一致するところは、前述のダウドナ教授とフランス出身の生物学者、エマニュエル・シャルパンティエ(Emmanuelle Charpentier)博士らの共同研究チームだった。

彼らが2012年6月、米サイエンス誌に発表した学術論文“A Programmable Dual-RNA–Guided DNA Endonuclease in Adaptive Bacterial Immunity”が、クリスパーの誕生を告げる記念碑的な論文(日付は同年8月)として知られている。

ところがクリスパーの基本特許を取得したのは、大方の予想に反し、(ダウドナ氏らとは全くの別人である)ジャン博士らの研究チーム、つまり米ブロード研究所(米マサチューセッツ工科大学とハーバード大学が共同設立した研究機関)だった。それは2014年のことである(https://www.google.com/patents/US8697359)。

 

これに対しダウドナ陣営(カリフォルニア大学バークレイ校)は当然のごとく異議を唱え、USPTOにクリスパー特許の再審査を請求。これが受理され、2016年1月に特許法廷で再審査(裁判)が開始された。

ちなみに、この種の特許紛争は一般に「Patent Inteference(特許抵触、あるいは特許干渉)」と呼ばれる。

と言っても何のことやら分かり難いだろうが、「ある特許申請と別の特許申請がinterfere(干渉)する」とは、要するに「それら別々の特許(申請)が、実質的には内容が同じの同一特許である」という意味だ。

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