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フランス
糞尿ポイ捨て!ベルサイユ宮殿の「舞踏会」はありえないほど臭かった
トイレがないワケじゃないが…

まさかのおまる持参!

17世紀から18世紀にかけてヨーロッパ諸国の貴族社会では夜ごと、着飾った伊達男と貴婦人たちの舞踏会が繰り広げられていた。

なかでも太陽王と呼ばれたフランスのルイ14世が建て、かの有名なマリー・アントワネットが暮らしていたヴェルサイユ宮殿での舞踏会は、贅沢の限りを尽くした豪華絢爛なものだった。

華麗なバロック様式の建物を舞台にした、まさに『ベルサイユのばら』の世界だが、実は当時のフランス貴族たちの衛生感覚は現代人からするとお世辞にも清潔とはいえなかった。入浴は習慣的な行動ではなかったし、何よりも酷かったのが宮殿のトイレ事情だ。

もちろんヴェルサイユ宮殿に、トイレが全くなかったわけではない。ルイ15世は寝室の隣に、上げ蓋式の便器を備えた部屋を持っていたし、ルイ16世は水洗式のトイレを使用していた。ただ、これらはもっぱら王族や、その取り巻きの大貴族たち専用の施設だった。

 

それ以外の中小貴族や使用人などは、「おまる」生活を強いられており、舞踏会に参加する貴族たちも携帯式の便器を持参しなければ、用を足すことができなかったのである。

貴族たちが持参する便器は25㎝ほどの陶製品で、カレーライスのソースポットのような形をしていた。臭いを軽減しようと香がたきしめられており、それを股に挟んで、用を足す。ドラマや映画では描かれることはないが、ヴェルサイユ宮殿の舞踏会ではそんな珍妙な光景があちこちで見られたのである。

そして、その中身の処理であるが、なんと宮殿の敷地内にそのまま捨てられていたという。ヴェルサイユ宮殿の噴水を配した広大な庭園は有名だが、この場所は糞尿の格好の捨て場となっていた。

当時、西洋の都市では、一般の人たちは糞尿を部屋の窓から外へ投げ捨てるのが習慣となっており、貴族たちも糞尿を「ポイ捨て」するのは当たり前だった。

かくして、ヴェルサイユ宮殿での舞踏会はいつも鼻が曲がるような臭いの中、行われていた。(井)

週刊現代』2017年3月4日号より