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企業・経営

ドンキにヨドバシ…有名企業が「即配戦争」に続々参戦するのはなぜ?

そもそも、儲かる見込みはあるのか

ネット通販における短時間配送競争が激しさを増している。

これまで国内のネット通販をリードしてきた楽天が目立ったサービスを打ち出せなくなる一方、アマゾンは次々と新しい配送サービスを登場させ、一時は圧勝かと思われた。

しかし、そのアマゾンにもヨドバシカメラという強敵が現われ、さらにはドン・キホーテも参入するなど短時間配送競争は今、新たなステージを迎えている。

アマゾンを凌駕する新サービス

このところネット通販の利用者の中では「ヨドバシエクストリーム」というサービスがちょっとした話題になっている。ヨドバシエクストリームは、同社が昨年9月からスタートした新しいサービスで、ネットで注文した商品を最短2時間半で届けるというものである。

同社は現在、460万点ほどの商品をネットで販売しているが、このうち約43万点が短時間配送の対象となっている。ネットで注文すると、即座に出荷が行われ、配達要員がどこにいるのかといった情報もネットを通じて確認できる。

荷物の受け取りにサインが要らないため、受け渡しもスピーディだ。なんと言っても最大の特徴はこれらのサービスが基本的に無料ということだ。

これに対し、アマゾンで即日配送のサービスを受けるためには、年会費3900円の有料会員(プライム会員)になる必要がある。

またアマゾンの短時間配送サービスである「プライムナウ」は、有料会員であることに加え、1回2500円以上の注文が条件となっている。2時間以内の場合には配送料は無料だが、1時間以内を希望する場合には890円の配送料がかかる。

ただし、ヨドバシエクストリームは、すべての商品が2時間半というわけではなく、翌日配送という商品も多い。単純に短時間配送という点で比較すればアマゾンの方が便利だが、基本的に無料で、商品によっては2時間半の配送が可能というのは、やはり破格の条件といってよい。

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こうした短時間配送競争に国内における通販最大手の楽天が参入してこないのはなぜか。

それは、同社の場合、基本的に出店者に場所を提供して対価を得るビジネスモデルなので、自社の商品を直接配送するヨドバシやアマゾンとは状況が異なっているためだ。顧客から見た場合、その違いはあくまで事業者側の問題であり、事情を考慮する人はあまり多くないだろう。

楽天は、2015年後半から楽天市場単体での業績開示をやめてしまったので、通販事業の詳細は不明だが、売上げの伸びが大幅に鈍化していることは間違いない。

同社はポイントが豊富であり、実質的な安値販売が魅力だが、利用者にはそれほどアピールしなくなった。アマゾンやヨドバシとの差は、配送サービスにあることはほぼ間違いないだろう。

 

ヨドバシカメラの利益率が高い理由

ヨドバシは、かなり以前からネット通販に力を入れ、リアル店舗だけに依存しない体制を構築してきた。

首都圏向けの配送は川崎市にある「ヨドバシカメラアッセンブリーセンター川崎」が担っているが、同社はネット通販に本格的に対応するため100億円をかけて設備を拡張。5階建ての新施設は延べ床面積24万平方メートルと、アマゾンの小田原のフルフィルメントセンター(延べ床面積20万平方メートル)を上回っている。

また短時間配送を実現するため、都内には複数箇所(昨年9月の時点では13ヵ所)の小型物流拠点を整備した。

さらに同社は、即日配送を全国各地に広げるため、三重県や北海道、九州などに大型の物流センターを建設する計画を打ち出している。三重県の物流センターについては土壌の改良工事で問題が発生し、計画が頓挫した状態にあるが、他の量販店と比較した場合、ネット通販で一歩も二歩もリードしているのは間違いない。

同社の2016年3月期の売上高は6796億円。量販店最大手であるヤマダ電機の1兆6127億円と比較するとかなり小さい。また最大のライバルでもあるビックカメラとの比較でも、売上高では後塵を拝している(ビックカメラの2016年8月期の売上高は7791億円)。

だが、ヨドバシの経常利益は512億円であり、他社と比較すると利益率が高い。これはむやみに大量出店しなかったことや、ネット通販事業の割合が高いことが功を奏した結果であろう。

こうした独特の経営が維持できているのは、量販店大手としては珍しく、非上場を貫いているからである。ネット通販事業は創業者の長男である藤沢和則副社長が統括しているが、ネット通販へのスピーディな対応は、創業家出身の経営者と非上場という組み合わせによってもたらされたといってよいだろう。