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これだけ批判されても、役人の天下りが根絶できない理由
繰り返されるいたちごっこ

当事者にとっては「両得」の制度

文科省の天下りあっせん問題が世間を騒がせている。

松野博一文科相は、人事課OBの嶋貫和男氏を仲介役とするあっせん体制づくりを同省が主導したことを認めた。

当の嶋貫氏は同省からのあっせんの指示や依頼については否定したが、嶋貫氏自身が再就職先や文科省関連団体から多額の報酬を受け取っており、こちらも問題視されている。

そもそも、天下りは'07年の国家公務員法改正で禁止されたはず。にもかかわらず、今日でもまかり通っているのはなぜなのか。

 

まず、役人の再就職には、正当なものと不当なものがあることを押さえておきたい。

退職後に独力または外部の助けを借りて仕事を探して再就職することは不当ではない。一方で退職前に自分の権限を利用して再就職したり、役所の紹介によって再就職したりすれば国家公務員法に違反する。これが世間で指摘されている「天下り」だ。

なぜ天下りが起こるかといえば、それを受ける企業や団体には、役所からの予算を受け取ったり、権限の行使で「目こぼし」を受けたりするなどの利益があるからだ。また役人を送り出す役所も、厄介な「肩たたき」をスムーズに行える。

天下りはまさに「両得」な制度であるうえ、役所の人事の一環として行われるため、根絶するのが難しいのだ。

今回槍玉に挙げられている嶋貫氏は人事課OBのノンキャリアという経歴だが、彼だけに報道の焦点が当てられているのは気がかりだ。というのも、実は、現行の国家公務員法では、役人OBは基本的に処罰されないからである。

再就職あっせんの「黒幕」

本当に追及されるべきなのは、実際にあっせんの片棒を担いでいた現役の人事担当や事務次官らのほうだ。OBはあくまでその補助役。そもそも今回の問題は、内閣府設置の再就職等監視委員会が現役の関与を掴んだから大事になっているのだ。

現役のキャリアが天下り後に得られる報酬は、嶋貫氏のようなOBのノンキャリアに比べれば「破格」。だから、キャリア官僚たちが嶋貫氏を俎上に載せ「トカゲの尻尾切り」を図ろうとしているとみることもできる。

現行の国家公務員法では、各省庁の一定以上の管理職について、退職日、再就職日、再就職先はすべて公開されることになっている。

今回の問題も公開済みの再就職リストから、内閣府に設置されている再就職等監視委員会がおかしいと見つけたものだ。とはいえデータベースは膨大で、委員会の人員も限定されていて、これまで見落としも多かったものと思われる。

役人は退職前に関係業界への求職活動をしてはいけないし、役所もあっせんが禁止されているのだから、退職前に再就職を望むなら関連業界以外でなければならない。ところが再就職リストを見ると、退職後すぐに関連業界へ就職した「違法」と疑わしい役人がいることがわかる。

また退職後10近くの再就職先を見つける役人もいるが、果たして役所のあっせんなしでそれが可能なのか。さらに「役人用」のポストが設けられている再就職先があるのもおかしい。

再就職リストは突っ込みどころ満載の資料だ。マスコミも含めてみんなで監視しないと、役人の天下りはなくならない。

週刊現代』2017年3月4日号より