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企業・経営
東芝が上場廃止をすると、日本経済には一体どんな影響があるのか
変わるものと変わらないもの

東芝が抜き差しならない状況になっている。第三四半期の正式な業績開示が延期となったことが、その証左だ。

理由としては、グループ会社であるウェスチングハウス社(以下、WEC)によるCB&Iストーン&ウェブスター社(以下、CB&I)の買収に伴う取得価格配分手続の過程において、内部通報によりWEC経営者による不適切なプレッシャーの存在を懸念する指摘があり、会計への影響の有無、複数の関係者のインタビューの確認を始めとする調査、および監査法人のレビュー手続には1ヵ月程度の期間を要するとのことである。

また、監査レビュー前ではあるが、2016年4~12月期が4999億円の連結最終赤字(米国会計基準)になったと発表し、米国中心に原子力事業で7125億円の損失が発生し、昨年末時点で株主から預かった自己資本が1912億円のマイナスになる債務超過に陥ったと説明している。

今期3月末についても、半導体事業の株式売却時期を2017年度以降に先送りする方針を固めたことで、現状では債務超過を想定している。

今回は、改めて東芝の上場廃止について考えてみたい。

 

判断は6月の定時株主総会後か

現状、東芝がこの3月末に債務超過に陥る可能性が高いことを受けて、「東証2部に指定替え」との報道が出ているが、個人的には特設注意銘柄に対する上場廃止が筋だろうと考えている。

特設注意市場銘柄とは、

「有価証券報告書等の「虚偽記載」や不適正意見、上場契約違反等の上場廃止基準に抵触するおそれがあったものの、金融商品取引所の審査の結果、影響が重大とはいえないとして上場廃止に至らなかった銘柄のうち、内部管理体制等の改善が必要であり、継続的に投資家に注意喚起するべく、取引所が指定する銘柄」

とされており、これはオリンパス事件の時に新たにできた制度である。

現在東芝は2015年9月15日に東証より「特設注意市場銘柄」に指定され、更には2016年12月19日に指定継続となっている。

また、当該指定から1年6ヵ月を経過した日(2017年3月15日)以降に東芝から提出される内部管理体制確認書の内容を確認し、内部管理体制等について、再度改善がなされなかったと認められた場合は、同社株式は上場廃止となる。

記者会見で頭を下げる綱川智社長 Photo by GettyImages

この判断が出るのはいつか。

一部では7月までにはという話も出ているようだが、現状まだわからない。

また、3月末の債務超過を想定して、東芝が市場第一部から市場第二部に指定替えになるとの報道も出ているが、もし市場第二部に指定替えになるとすれば、そのタイミングは今年のシャープと同様、今年度の決算が確定する6月の株主総会後、有価証券報告書が提出されたタイミングであろう。

となれば、特設注意銘柄の指定解除か上場廃止の判断も同時期である可能性が高い。

整理すると、

東証が東芝の内部管理体制が構築出来ていると判断した場合、特設注意銘柄指定解除および市場第一部から市場第二部への指定替え

内部管理体制が未構築と判断した場合、上場廃止

である。

本件、個人的にはどう考えても上場廃止であると考えている。

以下は、東証本則市場(市場第一部、市場第二部)の上場審査の審査基準である。

いかがだろうか。

継続性・収益性については、この第三四半期で債務超過となり、注記として継続疑義(ゴーイングコンサーン)が記載される可能性が高い。内部管理体制は、WEC買収時、またその子会社であるCB&I買収時のリスク要因の踏み込みが足らず、この多大な減損を計上してしまい、更には一部の経営者からの不適切なプレッシャーがかけられ、しかもそれが明らかになったのは、内部告発によるものだった。

開示については二度の決算開示を延期している状況である。

私は証券会社で上場準備の発行体に上場していただくために、内部管理体制構築のお手伝いをさせていただいたが、上記の内容であれば、上場審査合格は到底無理な話である。

当然だが、上場審査基準とは上場準備の発行体が目指すだけのものではなく、上場している発行体そのものも、そのレベルを維持していることが前提である。

 
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