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国際・外交 アメリカ
安倍首相が日米首脳会談で得た、目には見えない「最大の成果」とは
国際社会が日本に注目する理由

「反中親露」で一致、という幸運

先の日米首脳会談をどう評価するか。首脳同士が異例の1.5ラウンド・ゴルフを通じて個人的な信頼関係を深め、それを土台に日米の結束が一段と強固になった。なにより、国際社会で日本の存在感はかつてなく高まった。これこそが歴史的な成果である。

今回の首脳会談は世界の注目を集めていた。トランプ大統領にとっては英国のメイ首相に続く会談だったが、安全保障と通商分野で懸案事項を抱えた東アジア・太平洋地域の首脳とは初の会談だった。政治的意味合いはメイ会談とは比較にならないほど重い。

これまで大統領は通商問題から安全保障、米中関係に至るまで「戦後世界秩序のリセット」を目指すような言動を繰り返していた(1月27日公開コラム、http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50817)。世界貿易機関(WTO)ルールを無視するかのような国境税導入話しかり、「中国は1つ」の原則に縛られないかのような発言しかりである。日本には米軍駐留経費の全額負担を要求し、満たされなければ米軍の撤退もちらつかせていた。

一言で言えば、世界は「大統領はどこまで本気なのか」と心配していたのだ。

 

蓋を開けてみれば、日米関係について心配事はほとんど杞憂に終わったと言っていい。中でも米軍駐留経費負担問題は安倍晋三首相が国会で「あの問題は終わった」と明言した。

通商問題は両首脳がナンバー2のペンス副大統領と麻生副総理の協議に丸投げした。たしかに、今後のナンバー2協議で意見の違いが再燃する可能性はある。だが、こちらも両国が激突を避けて軟着陸する道はある。

米国が日本の貿易黒字を問題にするなら、日本は戦闘機など米国の防衛装備品を購入すると言えばいい。日本の自動車と、たとえば米国のF35の取引に持ち込むのだ。今回の首脳会談でも先のマティス国防相との会談でも、日本は防衛力強化を約束した。だから、F35を追加購入するのは不思議でないどころか自然である。

防衛力強化は当然だ。

中国は昨年、尖閣諸島に初めて軍艦を派遣し、北朝鮮は日本海に21発のミサイルを撃ち込んだ。日本を脅かす脅威のレベルは数年前とは比較にならないほど高まっている。米国から言われるまでもなく、日本自身が防衛力の強化を迫られているのだ。

だから米国が日本の貿易黒字に不満を募らせるなら、それをチャンスと受け止めて米国の戦闘機を買えばいい。同時に「日本が盾(防衛)、米国が鉾(攻撃)」という役割分担を見直す議論も始めるべきだ。米国の負担軽減になる話だから、トランプ政権は歓迎するだろう。

そもそも、日米は対外戦略の基本路線が一致している。

両国とも中国とはガチンコ対決、ロシアとは融和姿勢なのだ。大統領がロシアに融和的なのは、もしかしたらスキャンダルを握られているからかもしれないが、それは大統領の問題だ。理由はどうあれ米国が「反中親露」であれば、日本はウエルカムである。

なぜかといえば、日本は中国とガチンコ対決している以上、同じく日本海を挟んだだけのロシアとはケンカできないからだ。そこは、米国とは決定的に異なる地政学的な制約条件である。

だが、米国はいつも必ず反中親露とは限らない。米国はいざとなったらハワイから東に撤退することもできる。いまトランプ政権がたまたま反中親露であればこそ、日本は多少の乱暴さには目をつぶってもトランプ政権の米国を使い倒せばいい。

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