〔PHOTO〕gettyimages
中東 宗教

日本人はイスラームとどう向き合ってきたか

イメージから知識へ、知識から理解へ

イスラームに抱く戦闘的なイメージ

一昨年以来、ISIL(イラクとレバントのイスラム国)によるテロがヨーロッパを震撼させ、イスラームに対するネガティブなイメージが増幅されることとなった。

またアメリカ合衆国ではトランプ大統領によるイスラーム圏7ヵ国の入国禁止措置が実施されて以来、あちこちで抗議のデモが起きるなど国内が分裂する状況になっている。

こうしたイスラーム関連の出来事は異国の地で起きていることであり、日本では関係のないことのように思われている。そもそもこの国において、イスラームという宗教は異文化であり、これまで特に意識しなくとも日常生活を送ることができた。

しかしながら、日本社会も、東南アジア地域を中心としたムスリム留学生の増加、2020年開催の東京オリンピック、年々増加している訪日ムスリム観光客への「おもてなし」対応等を考えれば、イスラームがもはや遠い存在ではなくなりつつある。

 

実をいうと日本人のイスラームに対するイメージは一昔前と全く変わっていない。すなわち、「戦い、テロ=イスラーム」であるのだ。言い換えれば、戦闘的なイメージが強いのである。

拙著『日本とイスラームが出会うとき―その歴史と可能性―』でも日本人のイスラームに対するイメージについて述べたが、「厳しい戒律」などといったネガティブなイメージばかりつきまとう。

なぜか。

〔PHOTO〕gettyimages

ジャーナリズムがセンセーショナルな面に注視して報道しているだけでない。十数億ものムスリムがいるにもかかわらず、ごく一部の過激な行動を起こす者ばかりが注目され、それ以外の穏健で平和に暮らしているムスリムたちが無視されているという現実もあるからだ。

だが、こうしたネガティブなイメージが先行する状況においても、イスラームに積極的に関わり、あるいはまた自らの宗教として選択する日本人が存在する。それはグローバル化が進み、インターネットが普及して情報が容易に入手できる現代に限らず、過去においてもまたいえることであった。

ここでは、日本におけるイスラームの歴史の中で、日本人がいかにイスラームを知り、理解していったのかを明らかにしたいと思う。