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企業・経営

トヨタ、ソニー…有名企業社員は見た「ウチの社長はこんな人」

社員だけが知る意外な素顔

「社長の顔が見えなくなった」と言われて久しいが、よく見ると、日本にはまだまだおもしろい社長がたくさんいる。有力企業の社長の経営術、趣味、クセ……。社員がありのままを語り尽くす。

豊田章男の流儀

トヨタ自動車の豊田章男社長は出社するとまず、プライベート用の黒縁メガネから仕事用のものに掛け替え、シャツの上から作業着を羽織る。これが、仕事モードに入るための「ルーティン」だ。

慶応大学時代はフィールドホッケーに汗を流したスポーツマンで、経営スタイルは根っからの体育会系。社員たちにはいつも、次のように発破をかけている。

「俺を『WOW』と言わせてみろ!」

トヨタ社員は言う。

「社長は商品決定会議の議長を務めていますが、前に成功したから今回も同じようなものを、という提案を一番嫌う。トヨタは決して盤石ではないとの危機感が強く、挑戦し続けないと未来はないと考えていて、社員には『フルスイングしろ』と言っている。

だから、2015年に燃料電池車『ミライ』の特許無償化を決めた際、実はあれは社員が独自に方針を決めたものだったので、報告を受けた社長は『自分の知らないところでこんな決断ができるのはいいことだ』と喜んでいた。

40代からはゴルフをやらずにその時間を運転トレーニングに割いているが、それは遊びではなく、車のことをより熟知して、技術者たちともしっかりと議論したいから。

創業家ながらヒラ社員からやってきた分、現場に近いグローバルトヨタ35万人の『オヤジ』でいたいとの想いが強い」

トヨタ自動車の豊田章男社長Photo by GettyImages

常に新しいことへの挑戦を求めるのは、ニトリHD創業者でCEO(最高経営責任者)の似鳥昭雄氏も同じ。しかも、似鳥氏は、「スピード」へのこだわりが尋常ではない。

ニトリ社員が言う。

「私が新しい役職に就いた時、『とにかく前任者がやっていたことは全部変えろ。そうしないと、あなたを評価しない』と言われました。しかも、『新しい提案は3つ。それも松竹梅ではなくて、松を3つ出して』と言うから、社員はみんな必死。

その分、意思決定はとてつもなく早くて、数百万円の案件もバンバンとハンコを押していく即断即決即行スタイル。しかも、うまくいかなかったり、よりいいアイデアが出てきたときは、躊躇することなく方針を変える『朝令暮改』も厭わない。

成功は2年は続かず、3年目には真似されるので、真似される前に新しいことをやれ、と言っています。なによりみずから商品開発が大好きで、いいアイデアが思いついた時は、『こういう商品はないの?』などと言って、一人でベトナムの工場に行って作ってしまう」

結果を出す社長たちほど、みずから率先して動き、社内の誰よりも忙しく働いている。

 

富士通の田中達也社長にしても、「真夜中に部下がメールを送っても、必ず朝までには返信してくる。出張で月の半分は海外生活だし、帰国すれば毎晩のように会食。それなのに、休みがあれば家族で旅行に行っているようで、そのタフさには驚く」(同社社員)。

当然、社長ともなれば、一分単位でスケジュールが組まれ、1秒でも無駄にしたくない。マネックスグループの松本大社長は、そんな時間捻出のための「工夫」にも余念がない。

「1週間ほどの海外出張であっても、荷物を機内持ち込み可能な範囲に収めています。『向こうでの荷物引き取りの時間がなければ、ミーティングが1回できる』と言って嫌がるんです。同行する社員にも同じことを求めるから、ついていくほうは大変ですが」(同社社員)

三菱ケミカルHDの越智仁社長が「毎朝5時30分には起床している」(同社社員)というように、社長業は早起きが基本。また夜も、日本生命の筒井義信社長は「投資先や取引先など1000社以上のトップと対面での付き合いを大切にし、毎晩のように『飲みニケーション』で親交を深めている」(同社社員)。

そうした年間365日のハードスケジュールに耐えうるには「体力」が必須で、社長たちには実にスポーツマンが多い。

たとえば、第一生命HDの渡邉光一郎社長は、「剣道二段、空手三段の『剛腕』。幼稚園児にしてすでにガキ大将だったと本人が語っていたほど」(同社社員)で、

東京海上HDの永野毅社長も、「大学では体育会水泳部で遠泳に打ち込み、4年の主将の時には下田→大島の42㎞を完泳。現在も『全損害保険水泳大会』に出場し、60歳以上の部で度々優勝している」(同社社員)。