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東芝19万人、さようなら…実はさらに1兆円の「隠れ損失」リスクが!

銀行団に見捨てられて、 ジ・エンド

昨年末に発覚した巨額損失で追い詰められた東芝。経営陣が資金繰りに奔走する様子が日々報じられている。だが、パンドラの箱はまだ開いたばかり。これから待ち受ける現実は、あまりに厳しい――。

東芝株を売り払え

原発事業を手がける米国のグループ会社・米ウェスチングハウス社(WH)をめぐって、最大7000億円にものぼる巨額損失の計上を迫られている東芝が、いよいよ追い詰められている。

これまで東芝の資金繰りを支えてきた銀行団が、「最悪の事態」に備えて、水面下で準備を始めていたのだ。

「東芝の主力行のひとつであるみずほ銀行が、融資先への判断基準となる債務者区分において、東芝を『正常先』から『要注意先』に降格させたとの情報が駆け巡っています」

こう語るのは、大手外資系証券のアナリストだ。

「要注意先というのは、融資を回収できないリスクがあるため、文字通り『注意を要す』べき取引先とみなしたということ。言い換えれば、みずほは東芝への融資が回収できなくなる『最悪の事態』を警戒し始めたことを意味している。この情報が駆け巡るや、マーケットは騒然として、株式市場では一時、『東芝売り』が殺到しました。

みずほ側は東芝を要注意先としたことで貸し倒れ引当金を積む必要も出てくるので、いよいよ東芝融資に絡んだ損失も現実化しかねない。当然、みずほと歩調を合わせて、他行が同様の動きに出る可能性もあり、東芝に融資する銀行団の間では緊張が高まっている」

表向きは「協力」姿勢を打ち出しているみずほが「撤退の準備」を進めているのだとすれば、その衝撃は計り知れない。

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追い打ちをかけるように、東芝に1000億円以上の巨額融資をしている三菱UFJグループでも、「東芝切り」とも見られかねない動きが出始めている。

「グループの一角を占めるモルガン・スタンレーMUFG証券が、この年末年始にかけて東芝株の空売りを仕掛けていたことが判明しました。それも、東芝の巨額損失リスクが急浮上してきた直後から、空売りを仕掛けていたのです。

それだけではなく、今度は同グループの三菱UFJ信託銀行が、一昨年に発覚した粉飾決算をめぐり、『東芝の株価下落で投資家から預かった資産が大幅に目減りした』と、3月にも東芝に対して十億円規模の損害賠償請求を起こすと言い出した。

すでに東芝が瀕死状態であることは重々承知のうえで、回収できるものはなるべく早く回収しておきたい……そんなホンネが聞こえてくるようです」(前出・アナリスト)

 

東芝の主力行は三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行の3行だが、他にも前出の三菱UFJをはじめ生保、地銀まで含めると取引金融機関数は約80にも及ぶ。

当然、それら全社の足並みが揃うわけもなく、「すでに各社の方針の違いは出てきている」と取引行の幹部は明かす。

「というのも、東芝への融資が『無傷』で済むわけがないと考えているからです。そうなると問題は、『誰がどこまで傷を負うのか』。もちろん、最悪の事態になった場合、一番傷を負うのはメインバンクというのが業界の常識ですが、経営盤石ではない地銀の中には、わずかの損失リスクでも負いたくないところがある。

しかし、そうして金融機関の足並みが揃わず、支援スキームが決まらない状態が長引くほど、東芝の経営がより悪化していくという悪循環にもなりかねない。今、そのジレンマに金融機関の幹部たちは頭を抱えている」

銀行団は当面、2月14日に東芝が発表する原子力事業の損失額や今後の再発防止策を確認したうえで、3月以降に「本当に東芝を助けるべきか」を決定することになる。
本誌は、メインバンクの「本心」を聞くべく、みずほフィナンシャルグループの佐藤康博社長を自宅前で直撃した。

「我々のスタンスはもう決まっています。東芝は日本にとって大切な会社。メインバンクのひとつとして東芝を支えていく。これに尽きます。これは(同じくメインバンクの)三井住友銀行さんもまったく同じです」

東芝支援に向けて銀行団が一枚岩であることをアピールする佐藤社長。だが、果たしていつまでその覚悟を持続できるだろうか――。