「パクリ」と「模倣」の境界線〜世にも不思議な「知的財産」の世界

パクリは不倫と並ぶリスクファクター

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知的財産権とは何か?

ここのところますます、テレビや新聞で「知的財産権」に関するニュースを目にする機会が増えてきた──そう感じる方は多いだろう。

他人の文章、画像、音楽が無断で流用されているウェブサイトがあったとか、動画共有サイトにテレビ番組や映画が無断でアップロードされていたといった騒ぎは、ひっきりなしに起こっている。中国などのアジア諸国において大量の海賊品や模倣品が作られ、その一部が日本国内に流入している事実もすでに広く知られているところだ。

誰かが苦労して考え出したアイデアや作品をそのままコピーしたものや、それを少し変えただけのものが流通すれば、そのオリジナルを生み出した人が報われなくなってしまう。そのため、知的な創造活動によって生み出されたものを、それを創作した人の財産として保護することが必要だ。

ふつうは財産というと、お金、土地・建物、自家用車などのことを思い浮かべるが、ここでいう財産とは、「経済的な価値のある情報」のことをいい、これを「知的財産」と呼ぶ。

つまり、「知的財産権」とは、ひとことで言えば、「人間の知的な創造活動によって生み出された経済的な価値のある情報を、財産として保護するための権利」のことである。この「知的財産権」のことを、略して「知財」と呼ぶことも今では一般的となっている。

序章で説明するが、知的財産権には、小説・絵画・音楽などの著作物に関する「著作権」、発明に関する「特許権」、物品の形状や構造などの考案に関する「実用新案権」、物品のデザインに関する「意匠権」、商品・サービスに付ける営業標識に関する「商標権」などがある。つまり、知的財産権というのは、これらの権利の総称である。

それぞれの権利について、「聞いたことはあるが、具体的にどのようなものなのかよくわからない」という方が多いのではないだろうか? その背景には、知的財産権が自分の仕事や生活とは特に関係がないと考えている方が多いということがあると思う。

だが、最近は、そのような悠長なことなど言っていられない状況になっている。

 

たとえば、パソコンやスマートフォンの爆発的普及と通信網の発達によって、時と場所を問わない情報のやり取りが可能となったことから、自分が創作したコンテンツを外部に発信する機会が増えてきた。その半面、それを他人に流用されることは珍しいことではなくなっているし、また、我々自身も、他人が創作したコンテンツを自分のコンテンツに取り込むことで、無意識のうちに他人の知的財産権を侵害している可能性もある。

さらに、デジタルデータを簡単に三次元化できる「3Dプリンター」(立体印刷機)の登場により、知的財産権を巡るトラブルが「インターネット世界」から「リアル世界」に飛び出してくるリスクも格段に高まってきた。

企業・団体のレベルはもちろんのこと、個人のレベルにおいても知的財産権について知っておかねばならない局面が増大していることがおわかりいただけるだろう。現代社会において知的財産権に関する知識をしっかり身に付けることは、企業・団体や個人がこの先、生き残っていくために必要不可欠となっているのだ。

そこで本書は、知的財産権について本格的に勉強したことのない一般読者の方々、特に、ビジネスの第一線で戦っているサラリーマン・自営業の方々や、これから社会で戦う学生の方々に、知的財産権に関する理解を深めてもらうことを目指した。