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独メディアの「トランプ批判」はもはやヘイトスピーチレベル!
シュピーゲル誌表紙のえげつなさ

第四の権力とポピュリズム

ドイツの『デア・シュピーゲル』は、1947年創刊のニュース週刊誌で、緻密で強力な取材と多分に反権力的な主張で定評がある。

いったい戦後、誰がドイツの世論を先導してきたかと考えるなら、シュピーゲル誌の貢献度は、良きにつけ、悪しきにつけ、かなりの比重を占めるに違いない。そういう意味で、シュピーゲル誌は過去も現在も、まさに第四の権力の象徴である。

さて、今週発売の同誌が物議を醸している。問題は表紙のイラスト。

トランプ大統領らしき人物が、左手に血まみれの鉈を持ち、右手に自由の女神の首をぶら下げている。自由の女神の首からは血が滴り落ち、イラストの横には、「アメリカ・ファースト」の文字。

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トランプ大統領らしき人物の姿は、イスラム国のテロリストが、掻っ切った生首をぶら下げていたネットの映像と綺麗に重なるようになっている。

フランスのシャルリ・エブド紙が、ときにイスラムの預言者ムハンマドを戯画化して茶化すのは、他国の宗教と信者の心を踏みにじる卑劣な行為だと感じたものだが、シュピーゲル誌のトランプ攻撃もえげつない。

もちろん、彼の移民政策は、すでにアメリカの内政を混乱させている。関税問題も、メキシコの壁騒動も、アメリカ国民のみならず、多くの国の人々を戸惑わせている。アメリカの世論は二分しており、反トランプデモの盛り上がりは、世界中で報道された。

とはいえ、トランプ氏は一国の元首である。しかも、民主主義国アメリカの国民が選挙によって選んだ大統領だ。

就任は1月20日だから、大統領となってからこの雑誌が出るまで、まだ16日しか経っていない。なのに早々にこのような形で挑発し、侮辱することは正しいのか? 疑問符のつく元首は、他にもたくさんいるではないか。

 

ちなみにこのイラストは、1980年にアメリカに亡命したキューバ人の作品だという。元キューバ難民なら、アメリカ大統領をテロリストと同一視しても許されると、シュピーゲル誌は考えているのだろうか。

いずれにしても、私にはこれが表現の自由だとは思えない。それどころか、これこそ彼らがいつも軽蔑しているポピュリズムに限りなく近いと感じる。