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社外取締役の報酬はいくらぐらいが妥当なのか?

会議1回あたり2~5万円で十分だ

本当に役立っているのか

多くの会社が社外取締役を置くようになっている。社外取締役が、コーポレート・ガバナンスの近代化を推進すると信じる人々の運動が上手く行った結果だが、一方で「弊害」があるとの声も聞く。

つまるところ、選ばれた「人」次第ではあるのだが、一つには、社外取締役は当該会社の事業に関して詳しいわけではない場合が多く、取締役会を専門的な議論の場にする上で邪魔になることがある、との声を主に企業人側から聞くことがある。

確かに、ビジネス経験の無い学者、「女性の活用」を示すためのイメージ対策で採用された女性識者、退官した官僚の天下りの受け皿として社外取り締まり役をあてがった場合など、業務に関わる専門的な議論には明らかについて行けないのではないかと思う人選がある。

例えば毎月一回、取締役が勢揃いして会議を持つことの、出席者の「時間のコスト」を考えると、取締役会の議論が社外取締役に合わせるために「薄まる」ことがあるとすれば、企業にとって大きな損失だ。

社外取締役を置くことで、企業の業績や株式のパフォーマンスが良くなるのか否かについては、既に幾つかの研究があるようだが、社外取締役のプラスの貢献を支持するような実証研究はまだ見たことがない。当該ビジネスの素人である人物を取締役会に迎え入れることで、ビジネスが発展すると考えられる積極的理由はない。

社外取締役が代表できるのは、主に「世間の常識」の視点だろうが、社外取締役を持たなければ世間の常識を経営に反映できないようであっては、そもそも会社経営がまともに機能しているとは言いがたい。

まともに経営されている会社から見ると、世間や証券取引所に向けたお飾りとして社外取締役ポストを設けて、世論に付き合っているというのが実態だろう。

また、社外取締役は、重大な問題を発見した場合には、社長(ないしCEO)のクビを斬ることが期待される役割であり、特に委員会等設置会社では、指名委員会のトップと過半数を社外取締役に持たせることが多い。

しかし、そもそも実質的には社長が社外取締役を指名する構造になっているので、最初から社長側に取り込まれていて、期待されるような役割を果たせない場合が多い。

ハワード・ストリンガー氏がCEOだった時代に業績を大きく悪化させたソニーや現在存亡の危機に立っている東芝なども、いち早く委員会等設置会社に移行したコーポレート・ガバナンスの優等生であったが、社外取締役は期待されるような機能を果たせなかった。

 

別の指摘として、特に官僚を社外取締役として会社が引き受けることの、企業と官庁の癒着を問題だとする意見を聞くことがある。

昨今大きな問題になっている文科省の官僚が文科省の監督下にある大学に天下る問題ほど露骨ではないものの、経済、金融などの行政に関わる官庁のOBを社外取締役として受け入れることは、当該官庁の人事に協力することになる。退官後の食い扶持まで面倒を見られることは、官庁の結束力の源泉なので、この協力の価値は大きいはずだ。

取締役として引き入れた人物が、直接、顔を利かせたり後輩に口利きしてくれたりするのではないとしても、天下りの有力なポストを提供することで、企業の側から見ると官庁に「貸し」を作ることができる。

また、有能で真に役に立つ例外的な個人を迎え入れるような場合を除くと、企業の側では、天下り官僚の社外取締役を受け入れるインセンティブは、官庁との関係の維持・改善以外には存在しない。

社外取締役の受け入れは、企業にとって、フルタイムの幹部を丸ごと一人分受け入れるほどではないくらいのコストで、官庁との「緩やかな癒着」を実現するための程よい手段の一つなのだ。

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