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血糖値は睡眠の質で変わる!生活習慣病の原因は「隠れ不眠」だった

寝なくても寝すぎても糖尿病リスク上がる

9日間で劇的に改善した

昨年10月24日付で学術論文サイト「サイエンティフィック・リポーツ」に一本の論文が掲載された。

日本の国立精神・神経医療研究センター(NCNP)精神保健研究所精神生理研究部の北村真吾室長、三島和夫部長らのグループによるもので、現代人が自覚していない「潜在的睡眠不足」、いわば「隠れ不眠」が、健康に及ぼしている悪影響について考察した画期的な内容だ。

論文の内容を詳細に見て行こう。

まずは健康な成人男性15人を対象に必要な睡眠時間を測定した。9日のあいだ毎日12時間横になってもらい、実際にどれくらい睡眠時間が必要なのかを測るのだ。

実験初日は、普段の睡眠不足もあってか、10時間35分ほどの睡眠が必要だったが、次第に減少、4日目以降は安定した。最終的に必要睡眠時間は、平均8時間25分と推定された。

ちなみにこの実験で集められた被験者は平均年齢23.4歳。前項でも述べたように、若い彼らにとっては約8.5時間の睡眠時間が必要になるが、60歳を超えるような高齢者の場合、必要な睡眠時間は1~2時間は短くなると推測される。

「被験者たちが自宅で計測した『習慣的な睡眠時間』は平均で7時間22分だったことから、『潜在的な睡眠不足』は1日あたり約1時間だということがわかった」

つまり、普通の生活をしていても、誰もが1時間程度は「隠れ不眠」を患っているというわけだ。

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さらに注目すべきことに、この研究によって、血糖値が睡眠時間によって大きく影響を受けることがわかった。

十分な睡眠時間を取った場合、被験者たちの空腹時血糖が低下し、インスリン分泌能(HOMA-β)は明らかに増大していた。空腹時血糖値は92.1mg/dlから、9日目には90.4mg/dlに低下した。HOMA-βは、62.3から73に上昇した。ちなみにHOMA-βが低下すると、糖尿病リスクが高くなることがわかっている。

「わずかな睡眠不足であれ、それが恒常化してしまっていることが、肥満や糖尿病、気分障害の患者が増えている一因となっているとも考えられる。

(中略)今回の対象者は健康な若い成人であり、誰も眠気や睡眠不足などの問題を抱えているという認識はなかった。にもかかわらず、初日は3時間以上も睡眠時間が増えたということは、知らないうちに睡眠不足に陥っていたと考えられる」(同論文より)