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高級時計の売り上げ激減は「チャイニーズ爆買い」終焉のサインか
世界で起こる消費減退の正体

高級時計が売れない!

世界中で高級品を買ってきた中国人の「爆買い」が減退したことが、世界経済に大きな影響を及ぼしている。それが端的に表れているのが高級時計の売れ行きだ。

スイス時計協会がまとめた2016年のスイスから世界への時計輸出額は194億510万スイスフラン(約2兆1850億円)と、2015年に比べて9.9%の大幅減少となった。2015年も3.2%減っており、2年連続で減少したことになる。

世界の高級品の売り上げ動向は消費の先行きを示す傾向が強く、スイス時計の輸出統計はそれを端的に表すものとして注目される。世界的な高級品不調はいつまで続くのだろうか。

スイス時計の輸出不振の主因は、中国人の高級時計購入が減ったこと。中国からの旅行者が高級時計を買っていた香港はスイス時計の最大輸出先だが、2014年の41億2190万スイスフラン(4640億円)から2016年には23億8260万スイスフラン(2680億円)へと42%も激減した。このため香港は深刻な景気後退に陥った。

 

中国本土向けのスイス時計輸出額も12億9320万スイスフラン(1450億円)と、1年で3.3%減少、2年前に比べると7.7%減った。中国の経済成長が鈍化したことに加え、習近平体制になって高額品の贈答などが制限されていることも響いているとされる。

中国人旅行者の財布のひもが締った結果、中国人の旅行先ではいずれも消費減退が起きた。シンガポールも典型で、同国向けスイス時計は2016年は10.4%減少。世界4位の輸出先になっている日本も、3.3%減となり、2年連続の減少となった。

2016年は日本でも中国人観光客の「爆買い」一服が鮮明になり、百貨店などの売り上げが軒並み減少。それでなくても国内消費が落ち込んでいるところに大きな打撃となった。

高級時計が落ち込んだのは中国経済の減速ばかりが原因ではない。好景気が続いてきた米国も、こと高額品消費については息切れが鮮明になった。2015年は0.8%減と、ほぼ前年並みに踏みとどまっていたが、2016年は9.1%減と大幅に減った。

さらに欧州全域で景気が後退していることも追い打ちをかけた。

イタリア向けが10.3%減、ドイツ向けが10.8%減、フランス向けが19.6%減と軒並み2ケタの減少になった。フランス向け輸出の減少が大きくなったのは、パリ同時多発テロの影響などで旅行者が減っているため。フランスは毎年8000万人以上の観光客・ビジネス客が訪れる観光大国だが、テロが影を落としている。

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