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トランプ「日本批判」の本当の狙い〜「愚か者」扱いはキケンだ!

交渉相手として冷静に弱点を見抜く

お叱りを受けてしまったが…

先週、本コラムに「トランプはかくも賢く、計算高い!」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50837)と書いたところ、あるマスコミの人から、どうしてトランプを擁護するのかと、お叱りを受けた。

別に擁護しているわけではない。冷静にトランプ大統領に賢いところもあると見ているだけだ。

米大統領を日本人がいくら批判したところで交代できるわけでもない。であれば、日本の交渉相手としてその弱点を見抜いたほうがいい。

上から目線の批判に意味はない。批判ばかりしているマスコミの意見は、実戦の交渉にはまったく参考にならないし、時間の無駄、と思っている。

マスコミで展開される批判だけを見て「トランプ政権は行き詰まる」とか断言する人もいるが、そうした人は安倍政権にも嫌悪感を持っていて、安倍政権は早晩ダメになると予想した人が多い。

感情が先に出ると、予想も外れになる(気がする)。

 

もっとも、トランプ大統領の発言はみんなの興味関心を引くので、日本のメディアはこぞって取り上げるわけだ。トランプは引っ張りだこである。実は、あるマスコミ関係者から、トランプは数字(視聴率)が取れると聞いたことがある。

そんな折、筆者は先週土曜日に大阪の朝日放送の番組「正義のミカタ」に出演し、トランプ大統領の為替発言にどのように対処するべきなのかを解説した。

「トランプ大統領が日・中を名指しで批判!」というタイトルで、トランプ発言を「日本が長年、何をしてきたかを見ろ! 日本や中国は為替操作して通貨安に誘導している!」と簡略化して取り上げていた。

これは単に事実の話であるが、日本は為替操作をしていない。番組では、変動相場制と固定相場制の話をした。日本は変動相場制であり、原則として為替介入はしない。

変動相場制の国では為替介入は公表事項であるが、近年日本は為替介入をしていない。介入実績は、財務省のホームページにある「外国為替平衡操作の実施状況」に出ているので、一度確認してみてほしい( http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/feio/ )。

他方、中国は変動相場制ではなく、管理相場制である。番組では単純化して固定相場制といったが、本質的には管理相場制と同じであり、ほぼ常に為替介入が実施されている制度である、と番組で発言した。

もちろん、トランプ政権もこの程度の話は承知している。トランプ大統領の発言は、報道によれば、「マネーサプライ(これは正しくはマネタリーベースであろう)を増やして日本は為替を円安にした」といっているようだ。

この表現だけでも、大統領はかなり「賢い」と筆者は思う。少なくとも、日本のマスコミよりレベルは高い。というのは、為替と金融政策の関係を相当理解しているからだ。

日本のマスコミが為替について説明するときは、ほとんどが「誰かの発言がきっかけで円安に動いた」程度の報道ばかりで、メカニズムに言及することは少ない。エコノミストが出てきて解説する場合でも、せいぜい日米の金利を用いて為替の動きを説明するだけで、マネーの量によって為替を説明することはまずない。

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