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野球 週刊現代
プロ野球OB30人に聞く、清宮幸太郎の「将来性」
3割40本か、それとも2割10本レベルか

高校3年生になる前から、もうプロ入り後の活躍が楽しみだ。1年生の夏、聖地・甲子園で2ホーマーを放ち、鮮烈な印象を与えた怪物の力量を、プロ野球の有力OBたちはどう分析しているのか。

王に似ているところ

監督時代、そして評論家になっても、選手のことをめったに誉めない野村克也氏が、早稲田実業・清宮幸太郎(17歳)についてたずねると、柔和な笑みを浮かべた。

「間違いなく、いい素材だね。逸材であることは間違いない。プロに入ったと仮定して、1年目からも一軍の試合に出られるんじゃないかな。タイトルを獲れば即自信になるから、またそこから成長できる。将来的には、ぜひ王(貞治)とか、落合(博満)とか、ああいうレベルの選手になってもらいたい」

 

かつて、捕手として長嶋茂雄、王貞治としのぎを削り、その後は絶対的なスター不在の球界の行く末を案じるノムさんの、単なる願望ではない。昨年11月15日の明治神宮大会決勝(履正社戦)の映像を見ながら野村氏が分析する。

「逸材という根拠は、彼のボールの見逃し方と左投手に対する対応の仕方です。王に通じるものを感じるね。

相手の左投手のボールを見逃したときに、軸足が崩れない。前に突っ込んだり、開いたり、そういうのが見られない。

左打者は、誰もが左投手との対戦が課題になるんだけど、王は左投手を苦にしなかった。彼にこんな話を聞いたことがあるんだ。

『左投手が投げるときは小さなスライダー、今でいうカットボールが来るとイメージしておいて、そこで直球が来たらバットをコンパクトに出す』とね。そういう気持ちで打席に立つと、投手に近いほうの肩、腰、膝、いわゆる『壁』が崩されず、体を開かずに打ちにいける。

清宮を見ていても、小さなスライダーが来ることをイメージして待っていると思うし、王と同じ対応の仕方に見える。(履正社戦で放った本塁打の場面を見て)ボールを待つときに『壁』が崩れないね。ようするにボールをよく引き付けてコンパクトにという、理想像そのままのバッティングだよ」

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アンダースロー投手としては日本球界最多の通算284勝をあげた元阪急の山田久志氏は、昨年5月、故郷の秋田で、招待試合に出場していた清宮のプレーをナマで見ていた。

「単に体が大きいだけではなく、ガチッとしている。技術的には未熟な点はあるかもしれないけどもうプロに近いパワーを持っている。あの飛距離は魅力的です。これは私の考えですが、素材が超一流の選手は早くプロの水になじんだほうが成功すると思います。

今は投手が打者をよく研究するので簡単には本塁打を打てない時代になってきているが、今後の成長次第では40~50本打てる可能性を持った選手です。球団が責任をもって大成させないとね」

1年目の目標は2割8分20本

一方で山田氏は、清宮の課題も見抜いていた。

「タイミングのとり方に少し苦労しているように感じます。動きの柔らかさはあるけど、5月に見たときのままだと最初はプロのレベルでは苦労する。高校生の中ではずば抜けたパワーを持っているので、タイミングを少々外されたり、逆に内角のボールにつまらされたりしても、パワーで持って行ける。

でもプロではそうはいかない。ボールをとらえるために、自分のスイングができるタイミングのとり方を体得できるかが、成長するカギになると思います。

彼がなっているであろう将来像は、松井秀喜です。ただスケールは、松井のほうが大きいかもしれない。私も、松井が巨人に入ってから初めて練習を見たときにあの体と飛距離に驚いた。

彼は、松井のような打者を目指しながら、ヒットも打てて、3割を残せる打者を目指していけばいいと思う。松井だってプロで結果を出すまでは苦労した。そこを乗り越えて伸びてきてほしい、間違いなくスター候補生です」