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企業・経営 週刊現代
生き残るのは一社だけ!大企業同士の「大合併」時代がやってくる
飲料・製薬・百貨店・金融・コンビニ…

一社しか生き残れない業界大編成・大合併時代が到来ーー。人口減少が進む中、様々な業界が再編されるのは必至だ。明治大教授 小笠原泰氏、百年コンサルティング代表 鈴木貴博氏、セゾン投信社長 中野晴啓氏の3名が語り合う。

飲料メーカーの危機感

中野 日本では「失われた20年」の間に企業の淘汰が進まず、大企業が生き残りすぎたと言わざるを得ません。その間、海外では大企業同士の合併が進み、超巨大企業が誕生しています。

小笠原 しかも日本は規制、法律でがんじがらめ。独自の創意工夫が生まれる余地がない。

中野 日本でも合併を進め、規模を拡大しなければ、海外の超巨大企業に飲み込まれてしまう。たとえば、武田薬品工業の売上高は、製薬世界最大手のノバルティスの約494億ドル(5兆6072億円)に比べると3分の1以下です。

日本の大手4社、つまり武田薬品工業、アステラス製薬、エーザイ、第一三共が連合しなければ、これに伍していくことができない。

鈴木 飲料業界も同じ。ベルギーのビール最大手、アンハイザー・ブッシュ・インベブの売上高は436億ドル(約4兆9489億円)で、キリンHDが2兆1969億円、サントリーは2兆6868億円。この二社が合併してもまだ追いつかないのです。

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中野 飲料メーカーは相当な危機感があると思います。生き残る道は海外展開しかありません。「新興国ブームは去った」などと言われますが、いまでもビールはASEANやインド、パキスタン、北アフリカなどの人口増加国で市場が拡大しており、ここで売るしかない。

鈴木 そこでサントリーとアサヒの合併が考えられる。'14年、サントリーでは三菱商事出身の新浪(剛史)さんが社長に就任。商社出身の強みを生かし、海外展開を進め、相当ノウハウが蓄積されてきました。

同社は大きな買収を行いたいのですが、未上場なので資金調達に限界があります。それをカバーするために資金力のあるアサヒと合併する――。

サントリーは'15年、アサヒが「オールフリー」の特許を侵害したとして訴え、控訴までしましたが、昨年夏に突如和解に踏み切った。「マーケットを一緒につくって行こう」という態度に変わったことから、「電撃結婚」の可能性が囁かれるようになりました。

 

小笠原 なるほど。ですが私はむしろ、サントリーがキリンを傘下に加えるほうが、実現性が高いと思う。キリンは今後、清涼飲料をコカに売却し、国内で市場が縮小するビール以外に「売り」がない。

クレバーな企業ですから、危機感を持って海外展開を図っていますが、実行力が伴わず、'11年に購入したブラジルのスキンカリオールの運営には失敗。'15年末にはそのせいで約1140億円の特別損失を計上しています。現在ハイネケンへの売却を検討中です。

このままキリンに大きな変化がでなければ、好調のサントリーが同社を未上場持ち株会社の傘下に収める可能性はあります。

中野 破談に終わりましたが、'09年にも一度、両社は統合に向けて動いていますね。

小笠原 ほかには、サントリーがサッポロのブランドだけを買うケースも考えられる。「ヱビス」「黒ラベル」という「何もしなくても売れる」ブランドにサントリーが食指を動かさないはずがない。