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アメリカ

全世界が注視するトランプ・安倍会談で、日本が堂々と主張すべきこと

米政権を変えることはできないならば

「秩序のリセット」第一弾

安倍晋三首相とトランプ大統領の首脳会談が2月10日にワシントンで開かれる。これに先立って稲田朋美防衛相は3日、訪日するマティス国防長官と東京で会談する。2つの会談は日米関係のみならず、トランプ政権の先行きを占う試金石になるだろう。

トランプ政権は発足1ヵ月に満たないというのに、早くも大揺れだ。

イラクなど7ヵ国の市民や難民の入国を一時的に禁止した措置が世界中で大きな批判を呼び起こした。当該国民はもとより、グーグルなど著名企業の経営者も反対している。

トランプの措置に抗議する人々。シカゴ〔PHOTO〕gettyimages

政策を批判した企業の中には、「政権応援団」とみられたゴールドマン・サックスや本来、政権が守りたかったはずのフォードなど自動車企業も含まれている。そこは政権にとっても想定外だったかもしれない。与党の共和党内からも批判が出た。

 

混乱は政権内部にも生じている。1月28日には「グリーンカード(米国永住権)を持つ人も規制対象」と発表したが、批判を浴びて、翌29日には「カード保持者は適用外にする」と方針を変えた。まさしく朝令暮改である。

空港によって取り扱いが異なった例もあるようだ。どんな政策であれ、首尾一貫して整然と機能させるのが政府の仕事である。今回の措置がいかに異例であるか、を如実に示している。

特定国に限って当該国民の入国を禁止するとは、相手国と戦争状態のときに発動するような措置だ。大統領は「安全保障上の措置の一環」と説明している。脅威は一部のテロリストなのに、大統領はまるで一種の戦争状態をイメージしているようだ。

私は先週のコラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50817)で「トランプ政権は本気で戦後世界のリセットを目指すのか」と書いた。今回の入国禁止もその延長線上にある。まさに米国と世界が交わる関係のあり方を根本から揺るがした。

今回の措置は、秩序のリセットにつながる政策が実際に発動された第一弾だ。

この後、大統領が示唆してきた対中国政策の見直しや北大西洋条約機構(NATO)の防衛義務見直し、国連の分担金削減、気候変動枠組条約からの脱退などを本気で実行するなら、世界秩序は文字通りリセットされかねない。

そんな中で開かれるのが、10日の日米首脳会談である。テーマは自動車問題をはじめ環太平洋連携協定(TPP)に代わる日米の新たな通商枠組み、東アジアの安全保障問題などが想定されているが、世界が注目しているのは「トランプ大統領の本気度」である。

一連の発言は単なる大口叩き、あるいは交渉を有利に運ぶための「はったり」なのか、それとも大統領は米国と世界の関係を本当に根本から修正するつもりなのか。

ツイッターは単なるつぶやきだが、一国の首相に面と向かって語るなら、後で「あれは冗談だった」などと簡単に取り消せない。大統領が首脳会談で日本やメキシコからの自動車輸出に高関税をかける姿勢を示すなら「大統領は本気だ」とあらためて世界が認識するだろう。

英国を除けば、具体的な問題案件をめぐって関係国のトップと実際に顔を合わせて会談するのは今回が初めてになる。だからこそ世界が注目する。もっとも神経を尖らせているのは中国だろう。

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