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有名企業を退職した男たちが陥る「家庭内管理職」という病

オレが一番偉い、文句あるなら出て行け
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友達がいない

やることがないのは恥ずかしい。現役時代は、手帳が真っ黒になるほど予定が詰まっていたものだ。そんな感覚が染みついた元エリートほど、肩書も何もない自分に耐えられない。

「定年世代の夫婦であれば、共働きでも妻は近所でパートという人が多い。地域に知り合いがいて、サークル活動などをしている場合もあります。

しかし夫は、自宅から遠く離れた都市部の職場に毎日通い続けてきた人がほとんど。定年になってから急に『何か仕事以外に生きがいを見つけましょう』と言われても、うまくいきません。そのため、家庭の中で自分の役割を確保したくて、家事に口を出し、手応えを得ようとしてしまう。

『家庭内管理職』を脱するには、やはり億劫でも外に仲間を作ること。そして、麻雀やカラオケといった気を遣わなくていい趣味を持つことだと思います」(前出・田中氏)

 

「人生案内」の回答の中で、鷲田氏も同様のことを言っている。

〈打開策はたぶん一つしかない。気をよそへ向けることです〉〈上下関係のない居酒屋とか囲碁会といった近所のたまり場でもいいし、多様な人が集まるボランティアの活動でもいい。ペットとの、とにかくかわいくて威厳なんか何の意味もない関係でもいい。こんな交わりだってあるんだよ、と〉

サラリーマン時代の人間関係の大半は、つきつめれば地位や肩書、会社の看板があるからこそ成り立つ。しかし、妻や子供は「会社で偉いから」という理由で、父親を愛し尊敬するわけではない。

むしろ、何の肩書も能力もなかろうと、それでも愛してくれるのが家族というもの。これに気付けるかどうかが、「家庭内管理職」になるか否かの分かれ道だろう。

「週刊現代」2016年2月4日号より