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社会保障・雇用・労働
安倍政権の新たな抵抗勢力?人手不足解消に立ち塞がる「法務省の壁」
外国人雇用のニーズは高まる一方だが…

日本の「高い壁」がここにも…

2020年の東京オリンピック・パラリンピックまであと3年半。世界から大挙してやって来る外国人観光客を迎えるうえでの「人手不足」が懸念されている。

通訳や観光ガイド、飲食や物販などに携わるバイリンガル人材など、「おもてなし」に不可欠な質の高い人たちをどう確保していくのかが、大きな課題になってきた。

そんな中で、日本の文化を発信できる外国人に日本で働いてもらおうという声が強まっている。いわゆる「クールジャパン人材」だ。

母国から来た観光客に日本の魅力を直接伝えられる外国人人材を育てるために、日本で働くことができるようにしようというもので、規制改革を進めている「特区諮問会議」などが提案している。

もちろん、日本全国で無条件に働けるようにしようというわけではない。オリンピック・パラリンピックが開催される東京圏など「国家戦略特区」に限って、外国人就労を大幅に規制緩和しようとしているのだが、規制官庁である法務省が高い壁となって立ちはだかっている。

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1月20日、東京・永田町の首相官邸で開かれた「国家戦略特別区域諮問会議(特区諮問会議)」。安倍晋三首相を議長に、関係閣僚と民間人が議員となって、特区を使った規制改革の方針を決める会議だ。

この日は、内閣官房参与で元経済企画庁長官の堺屋太一氏が出席、「外国人雇用の拡大に向けて」と題する資料を元に説明した。

堺屋氏は外国人雇用のニーズが急増しているとして、2つの理由を上げた。ひとつは急速に進む少子高齢化で働き手が減っていること、そしてもうひとつは、外国人観光客が増加して、さまざまな業種で需要が増えたことだとした。

特に「観光関連で、ホテル・旅館だけでなく、ショッピングの現場やイベント会場などの想定されなかった現場でも外国人の対応が欠かせなくなっている」と、ニーズの広がりを指摘した。

そのうえで、「いきなり外国人の移民を受け入れるのではなく、まず各地域での受け入れ拡大を図っていくこと。つまり、横断的・戦略的に国家戦略特区を活用した外国人材の育成と雇用の拡大が必要である」と指摘した。

安倍首相はこれまで「いわゆる移民政策は取らない」とし、外国人の無限定な受け入れには消極的な姿勢を示してきたが、一方で日本で必要な人材は受け入れるとしてきた。

ところが、就労が可能な滞在許可が得られる「専門人材」は対象の職種が限られているため、技能実習制度や留学生制度が、人手不足を埋める「便法」として使われてきた。

 

厚生労働省が1月27日に発表した「外国人雇用届出状況まとめ」では、2016年10月末時点の外国人労働者数は108万3769人と、1年前に比べて19.4%増加、4年連続で過去最多を更新。初めて100万人を突破した。

中でも増加が目立つのは「資格外活動」に分類される在留許可者。ほとんどが「留学生」である。2012年の10万8492人から2016年には23万9577人へと2倍以上に増加している。本来は勉学が目的である「留学ビザ」で入国した人が働くため「資格外」と呼ばれている。

留学生は週に28時間までしか働くことができないが、現実にはそれ以上働くことが常態化しているとされる。最近急増しているベトナム人の43.3%が「資格外活動」で働いている留学生だ。

技能実習生制度でやってくる外国人も、建て前は日本で技能を習得することだが、本音は日本で働くためにやってくる。いわば出稼ぎである。 

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