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小池知事、もう豊洲移転は無理! で、どうするの?
白紙撤回は「想定内」!?

ベンゼンにヒ素……新鮮な魚を扱う場に、およそ似つかわしくない有害物質の名前が次々に飛び出した。これではもう胸を張って「世界一の魚市場」と言えない。今からでも、引き返すことはできるのか。

白紙撤回は「想定内」

ゆりかもめ「市場前駅」は無人駅である。まだ新しい高架の遊歩道からは、白く巨大な豊洲市場の建物が一望できる。

平日の昼間でも、警備員以外の人影はほとんどない。時折、だだっ広い道路をトラックが走りすぎてゆくだけ。まるで東京湾岸に突如、映画のセットが現れたかのようだ。

その地下に、消しようのない汚染があることが明るみに出た。

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「『基準値の79倍のベンゼン』というデータは、想定しうるものでした。都が地下をボーリングして詳細に汚染状況を調べた箇所は一部にすぎず、汚染を除去したのも、その調査でたまたま汚染が見つかったところだけ。まだ相当な量の汚染が取り残されている可能性が強いからです。

もし敷地全体で汚染対策を本気でやるとすれば、これまでにかけた額とはケタ違い、数千億円の費用がかかる。事実上、移転は困難になったのではないか」(都議会共産党・曽根はじめ都議)

豊洲市場の敷地内では、'08年に基準値の4万3000倍のベンゼンが検出されたこともある。有害物質のベンゼンがこれだけ検出されるのは、かつて東京ガスが一帯を所有していた時代、ベンゼンを含む燃料であるタールが、工場内で大量に使われていたためだ。

もはや豊洲には「汚染された土地」というイメージがついてしまった。たとえ除染されても、築地市場から豊洲市場への移転は都民の感情、そして世論が許さないだろう。「安全」と「安心」は別問題だからである。

 

都庁関係者が言う。

「小池さんの側近や市場問題プロジェクトチーム(PT)の間でも、移転推進派と反対派の間で激論が交わされています。今から移転を取り止めるのは筋が違う、無謀だという立場の人もいますが、PT座長の小島敏郎(青山学院大学教授)さんは、移転の白紙撤回もまだ視野に入れている。

実は小池さんは以前から『過去の水質調査データが疑わしい』という情報を握っていたんじゃないか、とも囁かれています。何かしら『豊洲には移転できない』という確信がないと、まだ盛り土の問題も発覚していなかった昨年8月末の時点で、移転延期の判断は下せなかっただろう、と」

本誌では、昨夏に小池都政が発足した直後から、「豊洲移転の白紙撤回」を報じてきた。根拠となっているのは、小池氏が当時、市場移転問題の検討材料としていた、ある内部資料だ。

この資料の中では、「築地市場の再整備」、そして「豊洲を物流拠点、またはショッピングモールとして活用する」というプランがはっきりと示されている。小池氏がきわめて早い段階から、豊洲移転中止、そして建物の転用という選択肢を意識していたことは間違いない。