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「意外と長時間労働の会社」実名公開!有名企業50社を総力調査
知らずに入ると大変なことになる

長い時間働くことは美徳。かつてはそう考えられてきた。だが、今は違う。政府が民間企業に労働時間の削減を迫る。日本人の「働き方」はここまで変わった。

三菱電機の当事者社員が語る

「言われたことしかできないのか。じゃあ、お前は俺が死ねと言ったら死ぬのか」——。

また大企業でパワハラと常態化した長時間労働が問題となった。

'13年4月に三菱電機に入社したA氏(31歳)は神奈川県にある情報技術総合研究所に配属された。待っていたのは長時間労働と、上司からの常軌を逸した叱責だった。

A氏はAV機器の部品開発に携わっていたが、技術的な研究と現場のトラブルへの対応を求められ、'14年2月の休みは2日のみ。残業時間は月に160時間にも上ったが、会社へは59時間と過少申告せざるを得なかったという。

実質的な「サービス残業」に加えて、上司から会議室に呼び出されて、冒頭のように罵倒されたり、深夜にも上司から電話連絡があったりしたとA氏は話す。

「'14年4月に『適応障害』を発症し、労災休業が認められました。その休業期間中に、三菱電機は私の解雇に踏み切ったのです。これは私だけの問題ではありません。私が勤めた職場では今も同じように長時間残業を強いられ、パワハラを受けている仲間がいると思います。会社は今すぐにそういった労働環境を改善してほしい」(A氏)

訴えを受けて、藤沢労働基準監督署はA氏の労災を認定。今年1月11日には法人としての三菱電機と、社員の労務管理をしていた当時の上司を横浜地検に書類送検した。

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厚生労働省の塩崎恭久大臣は、三菱電機の事件について会見で、

「労働基準法上、使用者は労働者の労働時間を適正に把握する義務があり、上司によって虚偽申告の指示をするという法律違反をさせるように自己申告を命じること、これは言語道断でありまして、私どもとしては看過できない」と激怒してみせた。

昨年には、電通で入社1年目の女性社員が過労自殺するという痛ましい事件も発覚した。こうした悲劇が、安倍政権の「働き方改革」の提唱へとつながっていることは言うまでもない。

三菱電機や電通にかぎらず、多くの日本企業は、依然として長時間の過重労働や残業代ゼロなどの問題を抱えている。しかし、その一方で企業活動を政府が指導し、一元的に管理しようとする「働き方改革」にどれほどの実効性や現実味があるのか、違和感があるのも確かである。

そこで週刊現代は、有名企業の長時間労働の実態はどうなっているのか、そこで働く社員たちの本音はどこにあるのかを現役社員に聞いた。就活生向けの企業案内では絶対にわからない、生々しい声をお届けしよう。

 

ユニクロのサービス残業

たとえば、飲食業は「ブラック業界」と批判されることが多い。内情を外食大手のすかいらーくグループの社員が嘆く。

「うちに限らず、外食産業はブラックそのものですよ。社員が長時間労働になるのは、単純にバイトの人手不足からです。『ゆとり世代』の大学生はそんなにおカネを欲しがらないし、せいぜい週に2回だけ働けばいいという感覚なんです。結果的に人手不足からフロアを回せなくなって、社員が穴埋めをする。

社員には、注文を取る以外にも仕事が山積みです。バイトのシフトを作ったり、食材を発注したり、在庫の管理をしたり。私なんか朝10時に来て、帰るのは深夜0時過ぎです。労働基準法に当てはめれば、残業は日に6時間、月に120時間ということになりますね。

政府は働き方改革を進めるということですが、このまま人手不足の状態が続けば、ファミレスの24時間営業なんてできなくなりますよ。実際、いくつかの店舗ではやめ始めています」

同じくブラック企業として批判を受けることもある、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの労働改善も、まだ道半ばのようだ。

「度重なる批判を受け、長時間の残業は厳しく制限されていますが、本部に内緒でサービス残業をせざるを得ないですね。繁忙期には仕事が回りませんから。

長時間労働というよりも、きついのは精神的なプレッシャーです。電通の自殺した女性と一緒で、うちの会社も追い込まれたときの逃げ場がない。少しでも気を抜くと店舗運営が崩壊して、本部から厳しく叱責されます。改善しようとしてうまくいかなければ、さらに厳しく叱責され、精神的に疲弊するという悪循環です」(40代・店長)