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【健康の新常識】なぜ健康診断を受けてはいけないのか?
実は科学的根拠があいまいだった

運動はしない、ストレッチも厳禁

いつまでもかくしゃくとして自分の足で歩きたい――そう考えてジムや公園で運動をする高齢者は年々増加している。

確かに運動をして筋肉量を維持することは健康のために大切なことだ。スポーツトレーナーの坂詰真二氏が語る。

「筋肉量は自動車でいえばエンジンの排気量のようなもの。筋肉が衰えてくるとさまざまな支障が出てきます。筋肉が減れば代謝も落ちる。発熱量も減って体温が下がり、免疫力も落ちてしまう。

問題なのは、運動のやり方を間違えたまま、極端に激しく負荷をかけてしまうと逆に筋肉量を落としたり、関節を傷めたりするケースがあることです」

 

正しい方法を知らずに、いたずらに運動しているとかえって怪我や病気のリスクが高まるのだ。よい例が最近ブームのランニング。

「20代、30代はいいと思いますが、それ以上になると関節の軟骨がすり減ってきます。その状態で走るとさらに衝撃を受け、ますます軟骨がすり減る。特に街中はアスファルトですから、衝撃が大きい。

また、筋力が十分でないのに走っているとフォームが安定せずぐらぐらするので、骨や腱がこすれ合い炎症が起きやすいのです。ドカンドカンと音のするようなフォームで走ると着地の時に体重の3倍くらいの衝撃がかかる。まずは正しいフォームを身につけないと危険です」(坂詰氏)

フォームに気をつけないとかえって有害なのは他の運動も同じこと。

「ジムのトレーナーも回数や重さばかりを気にしがちで、フォームの調整にまで気が回らないことも多い。正しくない姿勢で負荷をかけると、遠からず必ず悪いところが出てくる」(坂詰氏)

負担をかける筋トレではなく、柔軟性を高めるストレッチなら大丈夫だろうと思ったら、大間違いだ。とりわけ昨年、関連本が大ベストセラーになった「開脚ストレッチ」は、高齢者にとっては危険行為とすらいえる。

「バレリーナのように足を高く上げたり、ベターと上半身を床につけてみたいという女性の憧れもあって、ブームになっているのでしょう。そもそも骨盤が広い女性と狭い男性では差が大きいので、男性が真似するのは負荷が大きすぎます。女性は出産をするために股関節が柔らかくなっていますからね。

関節自体も女性は浅く、男性は深くできているのです。女性でも解剖学的に見て開きすぎはよくない。バレエダンサーでも引退してから股関節に問題を抱える人は多い。

柔軟性それ自体は大切なのです。しかし、私たちの日常生活を考えてみると、歩く、立ち上がるといった動作のほとんどが前後の動きです。特殊なスポーツでもしない限り横の動きは必要なく、股関節を左右に広げることはないのです。

普段運動をしていない50代以上の人たちが、180度開脚を短期間で実現しようと頑張るのは危険です。ほとんど走ったことのない人が、いきなりフルマラソンに挑戦するようなものなのです」(坂詰氏)

そもそも開脚ストレッチができたからといって、健康に直結するわけではまったくない。うかつに流行に乗って怪我するよりは、普段から背筋を伸ばして生活するくらいのほうがよほど健康的だ。