球体関節人形:陽月 撮影:福田秀世(Linx)
現代新書

自閉症スペクトラム~発達障害の当事者による「壮絶な告白」

見えない障害を理解してもらうために

こんにちは。

突然ですが皆さんは『自閉症スペクトラム障害』を知っているでしょうか。

『自閉症スペクトラム障害』は、以前は『アスペルガー症候群』と呼ばれ、その名が独り歩きしていた障害です。

障害名を聞いたことがある人は多いと思いますが、名前から病気の全体像を掴める人は多くなく、以前はなんとなく変わり者の、空気を読めない人間のことを、まとめて陰口混じりにこう呼ぶ傾向があったように思います。

そんな一般社会の混乱を知ってか知らずか、医学界は少し前に『アスペルガー症候群』を含むその他の自閉症も包括して、『自閉症スペクトラム障害』という名で呼ぶことを決めました。

『自閉症スペクトラム障害』という病名を知らなくても、『発達障害』なら聞いたことがあるという人もいるかもしれません。

『発達障害』は『自閉症スペクトラム障害(ASD)』、『学習障害(LD)』、『注意欠陥/多動性障害(ADHD)』の3つの障害の総称です。その中でも自閉症スペクトラム障害は、その影響が直接的に人間関係にまで及ぶため、問題が複雑化しやすい障害です。

私は、そんな『自閉症スペクトラム障害』を持って生まれてきました。

天咲心良さんが書いた『COCORA 自閉症を生きた少女』は1月27日に刊行されました。第1部「小学校編」は、1月27日〜2月9日の期間限定で、有力電子書籍書店で無料で公開しています。

「発達障害」とはどんな障害か

『自閉症スペクトラム障害(ASD)』とは、脳の一部に生じた生まれつきの異常により、(1)社会性が伴わない、(2)コミュニケーションが苦手、(3)想像力の欠如、などが現れる障害だと言われています(三つ組みの障害)。

しかし、こう言われて、どれだけの人がこの病態を理解できるか疑問です。「人付き合いが苦手な引きこもりで、空想がない子なの?」と思う人もいるかもしれませんが、実際はもちろん、そんなにものではありません。

 

『社会性』とは、集団の中で人に合わせて行動していく力のことで、『群れ』の一員として求められる行動をとっていく能力を意味します。

しかし、自閉症スペクトラム者は社会的にどういう行動が求められているかを理解できず、わざとではなくとも当たり前のルールを無視したり、常識的な行動をとることが出来なかったりします。引きこもりなどではなく、集団にいながら順応することが出来ません。

また『コミュニケーション』の面では、言語・非言語を含めた全般のコミュニケーションが苦手で、人と目を合わせる、触れ合う、笑いかけるなどの、表情や体を使った当たり前の愛情表現をしない・理解できないなどがあり、言葉の面では自分の好きな事ばかり話したり、人の言葉が理解できず無視してしまったり、自分の気持ちをうまく言葉にできず混乱して叫び出したり、重い自閉症スペクトラムの子になると、言葉をそのままオウム返ししてしまう、などもあります。

コミュニケーション全般で、すべてがちぐはぐで、噛み合わない、何だかしっくりこないと思われることが多いです。

さらに『想像力』という面では、これは決して空想遊びをしないなどの意味ではなく、『今これをしたら未来にどうなるか』という当たり前の想像ができない事があげられます。「これをすると、最後は怒られる。だからやめておこう」などの、起承転結が考えられないのです。

いつもと違うことをするのを極端に嫌がったり、同じ行動を繰り返すことに執着したりすることもありますが、それは、いつもの行動と少しでも違うことをした場合に、未来に何が起きるのか『想像する』ことが出来ず不安になるからです。

そのため急な予定の変更が起ったり、予測のつかない状況になったりすると不安になってぐずる、パニックを起こして暴れるなどすることもあります。

一つ一つは些細なことばかりですが、実際に子供の側にいる家族や学校関係者などは大変です。

愛情を示しても返してくれない。抱きしめようとしても嫌がる。集団行動ができない。理屈が通じない。どんなコミュニケーションもしっくりとは来ず、こちらの意図が伝わらない。子供からこちらに働きかけて来ようとする意志もあまり感じられず、いつも一人の世界に浸りっきり。

今日は天気がいいからみんなでお出かけしようかと言っても、突然の提案に混乱して、泣いて暴れて、お出かけができないどころか大騒ぎに疲れ切ってしまう……

他にも特定の音や光、感触に敏感で嫌がる、強い偏食がある、睡眠障害になりやすい(ぐずって寝ない)、片付けなどが苦手、など、一見すると『わがまま・自分勝手』としか見えない行動ばかりなので、関係者はとても大変です。

けれど子供も大変です。障害だと分かってもらえなければ、「こんなわがままな子は特別厳しく躾けなければ」と思い違いをされ、理解されないがゆえの苦しみを背負わされることにもなりかねないからです。

なぜそう思うかと問われれば、私自身がそういう経験をしたからです