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矛盾だらけのトランプ発言に惑わされず、世界経済の先を読むには?
側近やFRB筋の発言に要注意

1月17日、米有力紙は、トランプ米次期大統領が人民元の下落が行き過ぎていることを批判し、「ドルは強すぎる」と発言したと報じた。それによってドルは下落、為替相場は円高方向に飛んだ。

同日、英国ではメイ首相がEU単一市場からの秩序ある離脱を目指すと表明した。これを受けて無秩序な離脱が回避されるとの見方から、ポンドは急速に買い戻された。こうした動きが重なり、外国為替相場ではドルが主要通貨に対して下落した。

これまでのトランプ氏の主張には、しっかりした一貫性がない。むしろ矛盾が目立つ。その為、同氏の発言や政策スタンスをもとに、為替相場の展開を予想することは困難だ。

その点で、世界経済は不確実な時代を迎えている。今後の為替相場の展開を考えるためには、冷静に米国の経済状況を把握し、その上で政権アドバイザーなどがドル高を許容するかどうかを見極めることが重要だ。

矛盾ばかりだが…

1月11日の記者会見にて、トランプ氏は「国境税」に言及した。米国向けの完成品などを輸入する企業には、多額の税金を課すという考えだ。これは、米国の産業を守ろうとする“保護主義政策”だ。

そして、同氏の想定する国境税のコンセプトはかなり広く、詳細は分からない。共和党も税制改革の一環として輸出にかかる法人の税負担を軽減し、輸入企業には税負担を課すことを検討しているが、トランプ氏の考えと同じではないようだ。

トランプ氏は保護主義を重視している。それは米国からの輸出を増やし、経済を成長させようとすることだ。このためにはドル安が重要になる。

 

かねてから中国を批判してきたトランプ氏が、ドル高・人民元安が行き過ぎだと批判するのは自然な展開だ。2014年半ば以降、ドル高は米国企業の収益を圧迫してきた。米紙報道を受けて市場参加者がドル高の悪影響を警戒し、ドル買いポジションの調整が進んだのも当然といえる。

同時に、トランプ氏の主張には矛盾がある。トランプ氏は米国で、企業が雇用、生産、投資を増やすことを強要している。

この動きが進むとの見方が広まると、ドルは買われやすい。現在、米国の消費者物価指数(CPI)は緩やかに上昇し、FRBは2019年末まで年2~3回の利上げを想定している。その中で米国に企業を回帰させようとすれば、ドル高観測に拍車がかかるかもしれない。

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トランプ氏の問題は、政策の矛盾を解消しないまま主張や批判を繰り広げていることだ。記者会見後、金融市場では国境税がトランプ政権の政策を判断するポイントになるとの見方が広まった。

そして、18日には同氏が国境税よりも医療保険問題に集中したいと考えているとの報道もある。一貫性を欠き、矛盾のある政策運営が進むことを考えると、まさに、今後の世界経済は不確実だ。

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