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アメリカを偉大にするのは、トランプではなく「この男」かもしれない

その名はピーター・ティール!

イーロン・マスク、ジェフ・ベゾス、シェリル・サンドバーグ、ティム・クック、エリック・シュミット、ラリー・ページ……昨年の暮れ、NYでトランプ氏を取り囲んだのは凄まじいメンバーだった。このメンツが今後、4ヵ月に一度、集まることになったという。

「君らは何かあったら私に直電してきてくれ」――。

シリコンバレー嫌いで知られるトランプ氏が皆に笑顔で語りかける。仕掛けたのはやはりあの男、ピーター・ティールだった。

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無政府主義者が多く、政治をリスペクトせず、大統領選ではこぞってヒラリークリントン氏を支持し、トランプ氏勝利を受けてアメリカからの独立まで叫びだすシリコンバレーの起業家たち。この、いわば、視野狭窄なテック野郎たちをきちんと諭し、政治の重要性を説き、西海岸からはるばるNYに呼び集めたピーターは、会合の冒頭、パソコンさえ使わ(え)ないといわれるトランプ氏から絶賛された。

トランプ氏の向かって右隣という、最上席に鎮座するこの人物がこの先、自らテクロノジーと政治を仕切ることになる。

 

「明治維新2.0を起こすんだ!」

「賛成する人がほとんどいない、大切な真実とは何か?」

これがピーター・ティールの口癖である。彼は常にこの問いに対する答えを求め続けている。

そして、その答えを追求するために作った勉強会で、私は彼と出会った。今にして思えば、シリコンバレー代表として、トランプ大統領の誕生を予見し、支持したことこそがピーターのいう“賛成する人がほとんどいない、大切な真実”だったのだろう。

昨年、その勉強会で会った時、ピーターはこう言いながら自著にサインして手渡してくれた。

「日本か。ふーっ。日本はねえ……そう、明治維新2.0を起こすんだ!コータロー」

それ以来、真の“解”があるとしたら、それは皆がこぞって反対するようなものなのだと思いながら、日本が歩むべき道を考え続けている私だが、それから数ヵ月後、またしてもピーターに驚かされることになる。

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シリコンバレーが一致団結してトランプ候補に大反対する中、メインストリームのメディアが「トランプなんて勝てっこない」と言っている中、7月の共和党大会でピーターが壇上に立ち、なんとトランプ支持を打ち出したのだ。そしてその誰よりも早い支持表明によって、トランプ政権移行チームの重鎮になってしまったのだ。

数ヵ月前までは政治と最も遠いところにいた彼だが、今や世界政治の“ど真ん中”にいるといってもいいだろう。いったい誰がこんな事態を予想できただろうか。

私はもちろん、トランプチームの中でピーターに一番期待しているが、そのピーターをもってしても、トランプ政権をシリコンバレーと調和させていくのは困難だとみている。

私に口酸っぱくいってくる「明治維新2.0」とは、もちろん、日本国の体制変更のことではなく、ざっくりいえば、「テクノロジーで日本を変えろ」という意味だと私は理解している。

しかしながら、相手はアンチ・サイエンス、アンチ・テクノロジーと言われるトランプ政権。繰り返すが、私は彼をもってしてもなお、トランプ氏とテクノロジーを和解させるのは容易な仕事ではないと思う。NYでの著名テック起業家との手打ち式は、まだ表面的にすぎない。

トランプ氏を支持した“凋落する白人ミドルクラス”から仕事や富を奪っている犯人は、グローバリズムではない。トランプ氏はメキシコや中国を敵視することによって支持層に応えようとしているが、彼はいまだにグローバル化を白人ミドルクラス凋落の原因とみているきらいがある。

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しかし今、頭のいい彼は“本当の敵”に気付きつつある。白人ミドルクラスから仕事と富を奪っているのは、どちらかといえば“テクノロジー”なのだ。そのことにトランプ氏が、そして彼の支持層が本格的に気づいたとき、どうなるか? 大統領は間違いなく、こう言うだろう。

「おいUberさんよ。タクシー運転手をこれ以上痛めつけたら許さんぞ」
「おいおいAmazonさんよ。小売店をつぶすようなことはもうやめないか」

 
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