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戦争はもう、フィクションではない

ベル・エポックの只中で

ギリシャの金融危機が始まった2008年、歴史家フィリップ・ブロムが自著『よろめく大陸(Der taumelunde Kontinent)』の中で、1900年から1914年までのヨーロッパと現代のそれとの類似点を指摘している。タイトルの「よろめく(taumeln)」という言葉は、めまいを起こすという意味もある。なお、「大陸」はもちろんヨーロッパを指す。

ブロムによると、1900年のパリ万博から1914年の第一次世界大戦勃発までの時期、人々の会話や報道の内容を圧倒していたのは、新しいテクノロジー、グローバリズム、テロ、社会構造の変化といったテーマだったという。

工業化が進み、科学や医学が発達した。消費文化が栄え、前衛芸術が花開き、女性が社会に進出し始めた。雑多で、華やかで、ひどく混乱した時代。後世に生きる私たちは、その時代を「ベル・エポック(美しい時代)」と名付けた。

しかし、私たちは知っている。奔放なベル・エポックは、世界が崩れ落ちていく直前に鮮やかに咲いた徒花であったことを……。

では、その危うい過渡期を生きた人々はどう感じていたのか?

ブロムは言う。当時の人々は、自分たちが急速に未来に向かって突き進んでいるということは感じていた。しかし、だからといって不安を覚えていたかというと、おそらくそうではない。

1914年、一人のセルビア人の青年が発射した銃弾により世界大戦が始まったとき、それは青天の霹靂だったには違いないが、それでもまだ多くの人は、「まさかそれほど悪いことにはなるまい」と思っていた。

翻って現在。私たちは第二のベル・エポックに生きているのか? 故スティーブ・ジョブズが最初のアイフォンを紹介したのが今からちょうど10年前の2007年1月9日。それどころか、まもなく自動車は勝手に走り、冷蔵庫は足りないものを自分で注文してくれるようになるという。

時代が変わる。歴史のページがめくられようとしている。でも、次のページに何が書かれているのかがわからない。世界の金融が誰の手によって、どう操作されているのか、自分の情報がどこに消えていくのか。何もわからないまま、急速な技術の進歩が風のようにすり抜けていく。

ひょっとすると今回もまた、ヨーロッパの片隅で、予期せぬ一発の銃声が鳴るのだろうか?

 
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