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医療・健康・食
絶品!鍋奉行とグルメライターが厳選「すぐにでも食べたいベスト鍋」
ああ~日本の冬もおいしいなぁ
マッキー牧元(まっきー・まきもと)
'55年東京出身。タベアルキスト。立ち食いそばから割烹まであらゆるジャンルに精通。自身で調理法を探求するなど、鍋には造詣が深い

森脇慶子(もりわき・けいこ)
サンケイリビング新聞社を経て、食専門のライターとして独立。女性グルメライターのさきがけとしてグルメ誌から女性誌まで第一線で活躍

口に入れるとトロッと溶けて…

マッキー 寒い時期は、やっぱり鍋が恋しくなる。手頃な値段のところで、森脇さんのおすすめは?

森脇 冬になると必ず行くのが、巣鴨の加瀬政。ここの鱈のじゃっぱ鍋は絶品です。

マッキー 白菜や豆腐と一緒にたらを煮るんだけど、加瀬政はたらの質が違うよね。青森の一本釣りで朝上がったものが、夕方ぐらいにお店に届く。白子は時間が経つほどどろどろになって臭みが出てくるものだけど、ここのはまったく鮮度が落ちていない。

森脇 口に入れた瞬間、トロっととろけて、甘みが広がるんです。身のほうも分厚くて脂が乗っていて、ふつうにイメージするたらとは完全に別物。良いマダラが食べられる全国でも貴重なお店です。

マッキー それと、冬といえばカニ。やっぱり牧野(稲荷町)のカニ大根鍋は外せない。

森脇 すごく気になっていたお店です。

 

マッキー 生きた毛ガニと大根を、味噌にバターを溶かした出汁で煮て食べる。ちょっと唐辛子が入っていて、ピリっとアクセントが利いてるのがいい。カニの脚だけ最初に入れて煮込んでいくうちに、味がじわじわ出てくる。そして、頃合いを見て、カニ味噌を溶いて入れるんです。

味に深みが生まれて、おいしさが一気に引き立つ。それでもって、カニの旨味が染み染みになった大根がもう……。最初は、みんな我先にとカニを頬張るんですが、最後のほうは大根の奪い合いになる(笑)。

森脇 ブリ大根も、最後はブリより大根のほうが美味しくなりますもんね。

混ぜものなしふわふわの絶品つくね

マッキー あと、わくい亭というところの牡蠣の土手鍋も美味しい。本所吾妻橋にある居酒屋なんですが、とにかく牡蠣が新鮮で大きいので、お湯にくぐらせても身が縮まない。牡蠣のもつ濃厚でミルキーな味わいがしっかり感じられます。

森脇 あそこで一度、生牡蠣を食べたことがありますが、あまりに新鮮プリプリなのでびっくりしたのを覚えています。

マッキー 何の変哲もない土手鍋なんだけど、素材が良いとあそこまで美味しくなる。値段も安いから言うことなし。

森脇 いまは珍しくなったはりはり鍋(鯨鍋)ですが、うずら(白金高輪)は間違いないですね。しっかりと生姜の利いたスープに、具材は水菜と油揚げ、そして葛打ちしたクジラというシンプルさなんだけど、さっぱりと食べられるから、もう箸が止まらない。鯨独特の血の味が濃い肉に、水菜のシャキシャキした食感が相まってクセになります。

マッキー 肉の鍋で言うとベタだけどやっぱり湯島の……。

森脇 鳥栄の鶏鍋!

マッキー そう。余計な味付けをほとんどしていない透明な鶏だしスープに、鶏肉を入れておろしに醤油をつけて食べる。それから内臓がきて、つくねも出るんだけど、このつくねは出色。

森脇 厨房から「トントン……」と包丁で丹念に叩く音が聞こえてくるつくねは名物ですね。つなぎも卵黄だけだから、食感がなめらかでフワフワ。でも肉汁はしっかり。

マッキー つくねが入ると、スープの味が少しまろやかになってまた美味しい。余談だけど、ここはご飯が絶品だから、合わせて食べるともう至福。

森脇 そうそう! 私もいつもお櫃でおかわりしちゃう。スープをかけて食べると止まりません。

マッキー 予約方法が特殊だったり、冷暖房がないから夏は蒸し風呂地獄だったり、難があるといえばあるんだけど、一生に一度は行っておくべきと断言できる「東京の宝」のようなお店です。

森脇 三櫂屋(四谷三丁目)の豚しゃぶもおすすめですね。具材は豚肉と湯葉、白髪ネギだけ。さっぱりしているから、いくらでも食べられちゃいます。

マッキー 使っている豚の質が良いんですよ。埼玉の萩原畜産というところから仕入れてるんだけど、肉がきめこまやかで、脂溶けが良い。そして、溶けた脂から漂う香りが鼻をくすぐる。