1月20日、ドナルド・トランプ氏が米国大統領に就任した。
すでにトランプ氏は中露との外交に動き出し、関税についても大ナタを振るうと予告。トヨタがメキシコに工場建設するのであれば高い関税をかけると「恫喝」しているのが一例だ。
対外諸国への強硬姿勢をちらつかせているトランプ氏の就任1年目、日本は米国にどう向き合っていくべきなのか。
結論から言うと、今後トランプ政権と上手に付き合うには、「個人的なつながり」をいかに作っていくかがカギになる。
というのも、トランプ氏の手法は従来の政治家とまったく異なるからだ。
今までの米大統領は、個別企業の名前を出して狙い撃ちする政策を持ちだすようなこともなかった。ところが「ビジネスマン」であったトランプ氏は、実利を求めて個別企業と「交渉する」というスタンスを取っている。だから企業を名指しで称賛したり揶揄したりするのだ。
そんななか、ソフトバンクグループ社長の孫正義氏はトランプ氏にいち早く面会して「意気投合」した日本の経営者の一人だ。孫氏は米国の雇用創出のために投資を行うと先んじて約束。孫氏はトランプ氏と「ビジネス流」での接触に成功した。
一方、出遅れたのがトヨタの豊田章男社長である。トランプ氏を「政治家」として扱い、遠巻きに見ていたせいか、メキシコ工場の件で「先制攻撃」を食らった。米国にも大拠点を置いているのだから、豊田社長はもっと早くトランプ氏との交流を試みるべきだった。
1月9日の記者会見で、豊田社長は今後5年間に100億ドル(約1・1兆円)を投資すると表明したが、なんとも後手に回った対応である。