韓国

日韓合意を踏みにじる韓国の「ねじれた正義感」について

やっぱり予言が的中してしまった…

再燃する「慰安婦問題」について、長年にわたって韓国の取材をしているフリージャーナリストの北方農夫人氏が、当事者たちの声を交えてその問題点を考察する。

予言通りになってしまった

ようやく好転し始めた日韓関係が、再び悪化しかねない危機に直面している。日韓関係の棘となっていた旧日本軍の従軍慰安婦をめぐる問題(いわゆる「慰安婦問題」)が、2015年12月に「最終的かつ不可逆的に解決」することで両国が合意したにもかかわらず、再び頭をもたげてきたのだ。

私は昨年5月、このサイトに「悪夢再来!?慰安婦問題めぐる『日韓合意』が白紙に戻る可能性」という記事を書いた(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48634)。日韓合意からわずか半年で、韓国内で「見直し論」が急浮上していることを背景に、慰安婦問題をめぐる時計の針が再び逆戻りする可能性について触れたものだ。
 
それからまた半年あまりという短い時間で、その見通しは早くも現実のものとなりつつある。では、なぜそうした状況が生まれてしまったのか。その背景にあるのは「慰安婦問題の政治利用」と「韓国における正義のあり方」という2つのキーワードだ。

頭を抱える韓国外務省

まずは、日韓合意以降の慰安婦問題をめぐる動きについて振り返ってみたい。
 
昨年4月の韓国総選挙で、日韓合意に否定的な野党勢力が躍進し、16年ぶりの少数与党体制となった。財団は10月、日本政府からの10億円を基に元慰安婦1人あたり1000万円の現金支給を開始すると発表したが、同時並行で進んでいたのが朴槿恵大統領のレームダック化だ。その後、朴大統領は政治スキャンダルによって弾劾訴追され、職務停止に追い込まれた。

日韓合意を結んだ片方の当事者である朴大統領が、大統領としての権限を奪われた以上、合意履行を着実に進めていくけん引役はいなくなってしまった。その間隙を突くように、元慰安婦の「支援団体」は昨年12月末、釜山の日本総領事館前に「少女像」を設置した。

日韓合意が成立して1年が経過しても、ソウルの日本大使館前には「少女像」が設置され続け、さらにもう1体が当事国の外交公館前へ新たに置かれるという、何とも異常な事態となっているのだ。

では、こうした動きを、韓国側の関係者はどう見ているのだろうか。

 

頭を抱えているのは、韓国外務省だ。釜山の少女像をめぐっては、設置された像を釜山市東区庁がいったん撤去したが、抗議が殺到したため一転して許可した経緯がある。釜山市側の「一自治体で判断できる問題ではない」という悲鳴にも似た訴えに対し、韓国外務省は「民間が行っていることで、何か言える立場にない」と逃げ腰の姿勢をとるのが精いっぱいだ。
 
駐日韓国大使館への勤務経験を持つベテラン外交官は「合意は国家間の約束事。一方的に『破棄』『見直し』などと言えば、日本だけではなく、米国を始めとした国際社会から『韓国は信用ならない国だ』との烙印を押されてしまう」と、苦渋の表情を浮かべる。