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【ルポ】子どもたちが「神かくし」状態になっている一時保護の実態

本当に必要な「子ども支援」とは何か

突然消えていく子どもたち

児童相談所の虐待相談対応件数は2015年に10万件を超えました。これは、児童相談所に寄せられた児童相談に対応をしてケースとしてカウントした回数で、単なる電話相談は含まれていません。

ただし、死に至る虐待は2008年頃から減少傾向にあるため、虐待が酷くなっているというよりも、怪しいと思ったら虐待通報をする機運が高まっているために相談件数が増えている可能性が高いと思います。

児童虐待に対する意識は高まっていますが、実際に酷い虐待があるとみなされた場合、子どもたちはどうなるのでしょうか。本稿では、最近私が執筆した『ルポ 児童相談所』(ちくま新書)の内容をもとに、子どもたちが過ごす児童相談所内の保護所について書きたいと思います。

虐待のみならず、貧困、疾患や子ども自身の非行などが理由で、一時的に保護をする必要があるとみなされた子どもたちは、児童相談所に併設されている一時保護所に保護をされます。2014年において一時保護された子どもの数は延べ2万2千人になります。

少なくない一時保護は、事実上「行政による神かくし」に近い状態になっています。というのも、一時保護をされることになった子どもの多くは、学校の友人や先生、近所の知り合いなどにお別れを告げることがないまま、児童相談所内の一時保護所にいくことになるからです。

 

例えば、学校で先生に「お母さんがいつも叩くから帰りたくない」と言ったり、児童相談所がこのままだとその子どもが過程で虐待死すると判断したり、小児科の医師が骨折した子どもについて虐待の可能性が高いと判断したりすると、子どもたちはそのまま児童相談所の職員とともに一時保護所に直接連れていかれることになります。

この一時保護が終わった後に帰れたらまだよいのですが、4割くらいの子どもはそのまま親と離れて里親家庭や施設などで暮らすことになります。こうなると、元々いた地域の子どもたちからすれば、「Aさんはある日来なくなってからもう会えなくなってしまった」と神かくし状態になります。

私は、施設や里親家庭で育った子どもたちの支援をずっと続けてきました。大人になった彼・彼女らとお酒を飲みながら話していると、この一時保護期間ほど辛いものはなかったと多くの人が口を揃えました。

こういった話を聞いて、私はどうしても中に入って実情を知りたいと思うようになりました。普通では中に入ることができない児童相談所や一時保護所に、様々な経路からお願いをして入れてもらいました。結果として、全国10ヵ所の児童相談所を訪問し、2ヵ所の一時保護所に実習生扱いで泊めていただきました。

まず子どもたちが嫌だと言っていた抑圧的な一時保護所の話をしたうえで、そうでもない保護所もあるということをお話していきたいと思います。