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金融・投資・マーケット

「トランプ記者会見」で改めてわかった、次の米政権の狙い

力づくの「米国第一」

1月11日ニューヨークにて、米国の次期大統領ドナルド・トランプ氏が記者会見を開いた。

世界の金融市場では、この記者会見でトランプノミクス(トランプ氏が掲げる財政出動、規制緩和、減税を通した経済成長の促進)への具体策が示されるかどうかに関心が集まっていた。また、大統領選挙後に進んできたドル高に関しても、トランプ氏自身の考えが示され、為替相場の動向に影響があるのではないかとの警戒感は強かった。

記者会見の内容を総括すると、真新しい情報はなかった。が、同時にはっきりしたこともある。

トランプ氏は真剣に“米国第一”の考えを進めようとしている。特に、トランプ氏は、米国への製造業の回帰を力づくで実現しようとしている。

記者会見後、株式市場の動きを見ていると、いまだにこの取り組みへの期待は強い。今後、トランプ氏が企業に米国回帰を呼びかけることが想定される中、ビジネス界がどう反応するかは要注目だ。

 

トランプ氏は「強いドル」を許容するのか

年初以降、11日の記者会見でトランプ氏がどのような発言を行うか、多くの市場参加者は不安と期待の両方を抱えて相場に臨んできた。

1月11日の記者会見〔PHOTO〕gettyimages

そんな中、どちらかといえばトランプノミクスの期待が低下しているとの見方をもつ者が多かったようだ。こうして、ドルは徐々に主要通貨に対して下落してきた。大統領選挙以降、急速にドル買いが進んだだけに、利益確定の売りが出やすくなっていたこともあるだろう。

それに加え、外国為替相場の参加者の間では、トランプ氏がドル高を牽制するのではないかとの懸念が徐々に高まってきた。2014年の年央以降、米国の財務省やFRB関係者は主要通貨に対するドルの上昇が米国企業の収益を圧迫し、経済成長の足かせにつながると考えてきた。

そのため現政権の本音としては、緩やかなドル安が望ましい。トランプ氏が米国第一を考え、保護主義的な貿易を重視していることも、理論的にはドル安重視の政策につながる。

実際に記者会見が始まると、1ドル=117円手前の水準にあった為替レートは、114円台半ばまで急落した。これに関して、トランプ氏が経済政策の詳細を示し米国経済底上げのための取り組みを示さなかったことが影響しているとの指摘がある。

そうした影響はあるだろうが、最も重要なことは“強いドルは国益”との明確なメッセージが出されなかったことだろう。トランプ氏が強いドルを明確に許容するかは、冷静に考えるべきだ。

加えて、年初以降の株式市場の動きをみると、米国の株式市場は依然として上昇基調だ。

記者会見の中で、トランプ氏は薬価の引き下げや戦闘機のコストが高すぎることに言及した。この発言を嫌って、株価が大きく下げる場面があった。それでも、引けにかけて株式市場は上昇した。これは、依然としてトランプノミクスが米国の経済成長率を押し上げるとの期待があることを映している。

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