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100年生きるのは幸せなのか?長寿はめでたいが家族はこんなに大変

「口に出せない」ニッポンの悩み

「オーバー100歳」が2020年に10万人を超え、2030年には30万人に。

門松は冥途の旅の一里塚、めでたくもありめでたくもなし――

一休の歌ではないが、現在の日本は長生きを素直に寿げない奇妙な社会になった。人生100年が珍しくない時代の「幸福論」。

百歳の数は町田市の人口並みに

「今年101歳になる夫の叔母が、私の家から30分くらいのところに一人暮らしをしています。平日はデイサービスがあるのですが、土日はないので介護に行くことになる。

ヘルパーさんも頼んでいますが、時間の制限があって40分くらいしか滞在してくれません。これではろくに掃除もしてもらえない。夫も私も仕事があるので、介護疲れでもう限界です」

こう語るのは、東京都杉並区に住む嶋地晴子さん(仮名、58歳)。介護している叔母は子どもがおらず、夫も15年前に亡くなった。3年ほど前から「様子がおかしい」という電話が近所の人からかかってくるようになり、嶋地さん夫婦が介護することになったという。

「アルツハイマーなので、食事したことを忘れてしまい、台所にあるもの全部食べ尽くす。朝、夕食や明朝の分にと思って届けておいた弁当も一度に食べてしまうようで、ヘルパーさんが来ても『食べ物がありませんよ』と言われる。一度に食べ過ぎて下痢をしたり、嘔吐したりするので、大変です。

もちろん自分で掃除できないので、衛生面でひどい状況になっていることもよくあります。叔母の家に行く前はいつも今日はなにか異常がないか不安でいっぱいになります。

昨年の夏には自分で洗濯をしようとして、途中で忘れて放置してしまい、洗ったものがカビだらけ。すべて処分しなければなりませんでした。

100歳を迎えて区からお祝いの品が届いたときは、正直複雑な気持ちでしたよ」

百寿、紀寿、仙寿……。古来、100歳を迎えた高齢の人を寿ぐ言葉は様々なものがある。これまで日本では毎年、敬老の日に、総理大臣から100歳を迎えた人全員に銀杯が配られていた。

 

だが、'16年の敬老の日から、その杯は純銀ではなく、銀メッキに仕様が変更された。それもそのはず、現在、百寿者の人口が猛烈に増加しているのだ。人口問題に詳しい産経新聞論説委員の河合雅司氏が解説する。

「100歳以上の高齢者の数は老人福祉法が制定された1963年にはわずか153人でした。それが'98年には1万人を超え、'12年には5万人を突破。昨年9月1日の住民基本台帳では6万5692人に達しています」

百寿者の増加の勢いは今後も留まるところを知らない。国際長寿センターの推計によると、東京オリンピックの開かれる'20年には、現在の約2倍の12万8000人、'30年には27万3000人、そして'40年には42万人と倍化することが予想されている。42万人といえば、ほぼ東京都町田市の人口に匹敵する数だ。