日米関係の「安定」を本当に願うのであれば、最初に手をつけるべきことは…?〔PHOTO〕gettyimages
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日米関係の「安定」を本当に願うのであれば、まず地位協定を改定せよ

親米/反米を超えた課題

日本は米軍の世界最大の「宿主」なのに…

「活米」という言葉があるそうです。

トランプのようなリーダーが出現するにあたって、それに振り回されることなく、いかに日本が平常心を保って、日本の国防、国益のためにアメリカを活用してゆくか。

これは、米軍の世界最大の「宿主」としての日本が、アメリカとの関係を考えることに他なりません。在日駐留米軍との関係です。

そこでまず思い浮かぶのは「地位協定」の問題です。

地位協定は、米軍と日本政府との問題というより日本社会との問題に焦点が当たりがちです。ですが、日本の自衛隊にとって日米地位協定はどうなのでしょうか? 何も問題はないのでしょうか?

例えば陸上自衛隊は、もう十数年、アメリカの海兵隊と一緒に共同訓練を行っています。水陸機動団といって、尖閣諸島での中国の脅威が話題になっている島嶼防衛を念頭に、海と陸の両方で即応できる部隊をつくろうとしているようです。

この訓練、もちろん国内、国外的にも政治的に非常にセンシティブな問題なので、日本の近海でアメリカと大々的にやるのではなく、ほとんどがアメリカ国内で共同訓練をやっているのです。

この時、自衛隊員は、どういう外交ステータスでアメリカに滞在しているのか?

「公用パスポート」だそうです。

「外交パスポート」ではないので、外交特権はありません。日米地位協定で米軍人と軍属が享受するような特別の裁判権上の特権も何もありません。JICA(国際協力機構)なんかから派遣される民間の専門家と同じです。

つまり、訓練でアメリカ滞在中の自衛官が、例えば「公務」で自動車を運転中に米市民を轢いたとしましょう。その事件の処理において日本に一次裁判権はありません。

ところが、これがドイツやイタリアの兵士だったら、一次裁判権はこの両国にあるのです。アメリカ国内で起こった事故にもかかわらず、「公務内」であれば、アメリカに一次裁判権はありません。

 

このようなアメリカとドイツ、イタリアとの関係を「互恵的(reciprocal)」と言います。

アメリカの宿主をしている国はたくさんあります。アメリカが持っている地位協定は、実に、100以上あるそうです。

地位協定の問題というのは、裁判権だけでなく、環境権、基地や空域の管理権が焦点となるのですが、アメリカは、全てのNATO同盟国に、この全ての分野において「互恵的」な関係を認めています。

日米間にはそれはありません。

日本と同じ敗戦国でもドイツやイタリアは白人だし、NATOという軍事同盟だからしょうがないと言う向きもあるでしょうが、アメリカは二国間地位協定において、裁判権での互恵性を、例えば、フィリピンとイスラエルにも認めています。

イラク(後に決裂しますが)やアフガニスタンにおいては、「準互恵性」を認めています。例えば、アフガニスタンにおいて米兵が公務上の過失を犯した場合、一次裁判権はアメリカにありますが、アフガン側にアメリカの軍法会議に立ち会う権利を地位協定で明記してあるのです。これも日本にはありません。

横田空域みたいなものは存在しません。ドイツ、イタリアを含む全てのNATO諸国、イラク、アフガニスタン、フィリピン、そしてPartnership for Peace (PfP)という旧ソ連邦構成国においても、米軍の基地、空域、海域は、全て受け入れ国の主権の下に管理されています。

米機が落ちた現場を、米軍兵士が出かけて行って封鎖するなんてことは、まず、あり得ません。主権国家の中で、そういう事故によってつくられる非日常を統制し、日常から隔離するのは、その主権国家の、まず警察であり、必要であれば国軍であり、外国軍であるハズがないのです。

60年間ずっと変わっていない。まるで占領下のような地位協定は、日米地位協定しかないのです。(詳しくは:http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48780