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中国で急成長!利益率50%を誇る激アツ産業「シェアサイクル」とは

若手起業家が牽引する1兆6千億円市場

自転車業界の救世主

昨年あたりから、中国の「シェアサイクル」が日本でも紹介されるようになっている。

中国では以前から「公共自転車」という名のいわゆる「コミュニティサイクル」がすでに存在してきた。これは日本でも導入され始めている仕組みと似ている。

中国の公共自転車 〔PHOTO〕gettyimages

しかし、中国でこの1、2年で急速に普及し始めたシェアサイクル(中国語では「共享単車」)は、これとは異なる。専用駐輪スペースをもたず、利用者がスマホで最寄りの自転車(GPS搭載)を検索してQRコードで解錠(鍵にSIMカード内蔵)して使用し、乗り捨てが可能というものだ。

急拡大の途上にあるため、正確な状況を把握しにくいが、昨年までの段階で少なくとも30社近くが10都市ですでに事業を展開し、自転車の投入台数は計30万台に達しているという。

うち主要事業者の1つである「ofo」は昨年半ば段階での投入台数16万台のところ、100万台の投入を予定していたし、他のいくつかの参入企業も2017年に100万台以上の投入を計画している。

シェアサイクル業界では早くも競争が激化しており、利用料金30分1元(約16円)の先行業者に対し、後発組が値下げで対抗し、先行者がこれにまた対抗するという、お得意の価格競争が展開されている。

シェアサイクルは、不況の只中にある自転車業界の救世主ともいえるし、業界再編の推進力にもなりうる。

 

なぜ今シェアサイクルが流行るのか

シェアサイクルの素地は2000年代以降、ある意味すでに整っていた。中国では自転車の盗難が多い。盗難数は日本の約10倍の年間400万台に上る(2007年頃の数字)。3~4割が後日見つかる日本と違い、盗られたらまず戻ってこない。

このことがシェアサイクルの潜在的需要となっていた。特に敷地が広大でキャンパス内も自転車で移動することが多い大学では、その盗難が大きな問題だった。

また、より遠距離の移動に関しては、自転車はすでに電動スクーターに代替されていたが、大都市では、地下鉄の駅を出てから目的地までの1~3㎞程度の移動に不便があった。一部都市では走行制限があることも影響しているものの、健康志向を持つ都市部の若者は電動スクーターをあまり使わない。

日本で最も紹介されている「摩拝単車」のユーザーの8割は80年代以降に生まれたいわゆる「八〇后」「九〇后」である。

そして決定的なのはIT技術の発展とスマホの普及で、シェアサイクルはまさにインターネットの普及と共にある新興ビジネスだ。

「ofo」の例で言えば、アプリのダウンロード等の利用手続きも決済(プリペイド入金と引き落とし)も、中国IT大手テンセントのアプリ「微信」を通じて行われる。GPSによる待機自転車探し、自転車の番号入力、解錠から利用時間と距離の測定、支払いまで全て自分のスマホ1台でできるのだ。

中国のネット利用人口比率は2005年の8.5%から昨年6月には50.7%となり、都市部では70%に近づく(ネットユーザーの多くはモバイルによる利用)。ネット決済が急拡大したのも2010年代に入ってからで、シェアサイクル産業の条件が揃ったのが、まさに2010年代なのだ。

2015年に「インターネットプラス計画」が打ち出されたこと、16年からの第13次5ヵ年計画で、交通輸送における低炭素化の推進として公共交通手段優先、自転車利用の奨励が打ち出されていることも追い風になっている。