「楽天市場」ホームページより
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楽天市場の「絶望的な使いにくさ」に隠された意図〜深読みウェブ散歩

効率だけがすべてじゃない!?

お宅訪問のノリで「楽天市場」へ

ワールドワイドウェブという仕組みが発案されてからはや四半世紀。いまとなってはウェブのなかった頃がどんなだったかを思い出すのも難しい。

ある推定によると現在ウェブサイトは14億以上あるともいう。こうなるともはやそれ自体がひとつの世界、果てもなく膨脹を続ける宇宙のようでもある。

私たちは日々そんなウェブの宇宙をさまよっている。

なにか目的をもっている場合もあれば、当てもなくフラフラすることもある。そこには毎日立ち寄るコンビニのようなところもあれば、馴染みのバーのようにくつろぐ場所、あるいはたまさか通りがかって入ったものの二度と訪れない場所もあったりする。20年以上やってる老舗もあればさっきできたてほやほやのサイトもある。

なぜこんな話をしているのか。

ヤブカラボウで恐縮だが、私はゲームクリエイターという仕事柄もあって、ゲームだけでなく、限られた画面になにをどう表示するかとか、どんな操作をさせるかといったことに興味がある。そこで暇を見つけては、あちこちのウェブをそのつもりで拝見している。

「そのつもり」と言ってもなんのことはない。あるウェブサイトに初めて訪れた一見さんの立場になって観察するんである。

目はどこへ行くか、手はどう動くか、なにをしたくなるか。いわゆる「ユーザー体験(UX)」に注目して、お宅訪問のようなノリでウェブを眺めるという次第。

今回は、そんなふうにご一緒にウェブを眺め楽しんでみようと、こういう趣向であります。コツは、観光地ではじめて目にする風景や建物を見る感じ。好奇心で目を見ひらいて、驚きを大事にするのがポイント。

これはウェブやなんらかの創作・制作に携わっている人にはもちろんのこと、モノを見る目を養いたい人にもおすすめしたい観察法であります。

ゴチャゴチャしすぎ?

そこでこのたび訪れてみたのはご存じ「楽天」。日本で最大規模のオンライン・ショッピングモール・サイトであり、1997年の開設はウェブでは老舗。現在は関連サイトも多数あるけれど、ここでは本家「楽天市場」のページを見てみよう。

これが建物でいえば正面玄関にあたるトップページ。

「楽天市場」より

おお、なんと賑やかな。ところ狭しと画像と文字がてんこ盛り。この感じはどこかで見覚えがある……。

そうそうあれだ、ゴチャついた東京のなかでも秋葉原や歌舞伎町、お店でいうならドン・キホーテの店内、あるいは新聞に折り込まれるスーパーのチラシのような、「なんでも集めてみたよ」というカオスな空間に通じるものがある。

なにかありそうなワクワク感と、ちょっと息苦しくも怪しげな密集感がごちゃまぜになったフシギな商品と欲望の渦巻くジャングルだ。うーむ、なんだか見ているだけなのにくたびれてくるような……。

気を取り直して眺めなおそう。どんな場所だろう。

見えている範囲で、ページ全体は大きく4つの部分からできている。

「楽天市場」より

上のほうには検索や各種特集ページへのリンクがある(①)。日本語を横書きする場合、ご存じのように普通、左から右へ、上から下へ進む。そこでこういう画面でも左上が出発点になる。つい目が行く場所でもある。このページも左上に最重要の要素があるのは合点がゆく。

ページ全体はゴチャゴチャでも、手っ取り早くものを探したい人はこの部分だけ見ればよい。きっと楽天の常連さんはさっとやって来て、あれこれに惑うことなくぱっと検索するのだろう。

さて、その下は3つのコラム(列)に分かれている(②③④)。

向かって左側には、通販サイトとしてこれまた重要な「配送」についてのお知らせ。その下には商品の「ジャンル」が並ぶ。これは山ほどある商品を絞り込むためのフィルターだ(②)。

といっても、ジャンルがなんの順に並んでいるのかはうかがい知れず、初心者にはデタラメに並んでいるようにも見える。

 

中央には、各種の画像で商品や買い物に関するお知らせが配置されている(③)。見えている範囲でも3段あって、一番上は四角、中段は丸い画像、下段は「人気商品ランキング」。

この中央コラムは1画面に収まらず、ずっとずっと下のほうまで続く。どのくらい続くかというと、私のパソコンで7.5画面分ほど。長い! 新聞を隅々まで読むような感じで、こういうページを眺めて楽しむ人もいるものだろうか。

そして右側にはその他のキャンペーンなどのお知らせ(④)。先ほど述べたように、日本語横書きは左から右へ読むということを念頭においた場合、一番最後に読まれるかもしれない部分だ。

以上の4つのパートのうち、もっとも面積が広いのは中央の商品を表示するスペース。というのは、当然のことながらショッピングサイトとして一番見せたいものは商品というわけであり、これは納得できる。