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世界経済
トランプが巻き起こす「世界自動車戦争」でトクをするのは誰か?
「アメリカ・ファースト」のその先に

世界の自動車工場メキシコ

「4年後のメキシコは、フランス、イタリア、イギリスが現在生産している車を全部合わせたより多くの車を生産しているはずだ。メキシコでの自動車生産は毎年9%の成長を遂げ、2020年には500万台になる。それにより、同国は韓国を抜き、5位のドイツに迫る世界6番目の自動車生産国となるだろう」

これは、去年の5月末の記事である(n-tv.de, ppo/dpa)。もちろんこの頃、次期の米大統領がトランプ氏になるとは、誰も思っていなかった。

メキシコではすでにフォルクスワーゲン、ジェネラルモーターズ、フォード、日産、ホンダ、トヨタなど、多くの自動車メーカーが投資している。

大市場アメリカに近いし、輸送手段も良好、労働力は安い。しかも、ドル決済地域なので、為替変動の危険がない。つまり、世界の自動車メーカーにとって、メキシコは楽園のような国だ。2015年、ベンツと日産も新しい合弁会社の建設に着工した。

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アメリカ、カナダ、メキシコはNAFTA(北米自由貿易協定)により、多くの製品で関税が免除されているため、メキシコで生産された車の3分の2は、アメリカとカナダに輸出されている。

またメキシコは、その他40ヵ国以上の国とも自由貿易の協定を結んでいるし、その上TTPが締結されれば、輸出先にアジアまで加わる。それを視野に入れつつ、多くの自動車メーカーがここ数年、メキシコの生産基地を急速に拡大してきた。

ところが、トランプ氏の当選以来、にわかに先行きが見えなくなってしまった。フォード社が、メキシコで計画していた新工場建設(16億ドル)を白紙に戻すと発表したのは新年早々3日のことだ。その代わりに、アメリカのミシガン州の工場に7億ドルを投資するという。

同社によれば、この計画変更はトランプ氏とは関係なく、自社の長期的利益を鑑みてのことだとか。ただし、フォード社はメキシコでの生産を縮小するわけではない。今のところ、フォーカスの新モデルはここで生産する予定だ。

 

トランプの攻勢はトヨタにも及んでいるし、もちろんドイツの自動車メーカーも頭を悩ませている。BMWもベンツもアウディもフォルクスワーゲンも、皆、メキシコに工場を持っているし、それをまだ広げるつもりだった。

トヨタの豊田章男社長は、こうコメントしている。

「メキシコの工場はアメリカから移転するものではなく、新たに作るものであって、現在のアメリカ国内の生産規模や雇用が減ることはない。トヨタ自動車は、アメリカに10の工場と13万6000人の従業員を抱えていて、トランプ新政権と協力していくことを楽しみにしている」

メキシコの新工場の建設はすでに始まっている。

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