規制緩和・政策 経済・財政
朝日新聞のあまりに稚拙な「経済成長否定論」を一刀両断してみせよう
経済面でも、この国をミスリードするか
髙橋 洋一 プロフィール

失業率を上げないための、具体的な策とは

失業率と生産年齢人口の推移をみれば、最近の失業率の低下は生産年齢人口の低下とは結論付けられない。

失業率は、労働力人口から就業者数を引いたものを労働力人口で除して定義される。労働力人口は「15歳以上の人口」であり、生産年齢人口は15歳以上65歳までの人口。

両者はパラレル概念だ。労働力人口(生産年齢人口)が減少するとき、それを所与とし、経済状況によって就業者数が決まってくる。なので失業率は分子も分母も労働力人口の動きを見込んだものとなって、景気だけに左右される。

まともに統計分析すれば、生産年齢人口はコンスタントに減少する一方、失業率は景気で上下となるので、傾向を除去して考えれば両者は無関係であることがわかる。

ちなみに、オークンの法則のように前年からの失業率の差と前年からの生産年齢人口伸率をみれば、無関係であることは明らかだ(下図)。

雇用を守るべき左派系識者や経済評論家はそうした常識が欠けていると、筆者は本コラムで何度も指摘してきたが、実は右派系にもいるのが現実だ。

金融政策と雇用の関係はマクロ経済学のイロハである。もっとも、日本では、金融政策を正しく理解しているに過ぎないのに「リフレ派」と呼ばれ、特殊扱いされてしまうのは困ったモノだ。

そこで、今の日本で、失業を増やさないための、具体的な政策を提示しよう。

昨年に日銀は金利管理に移行した。これは、金融緩和に対し積極的ではなく受け身になったことを意味する。この方式では金融政策が財政依存になる。政府が国債を発行しないと金利が下がる。それを日銀が引き上げると金融引き締めになりかねないが、政府が国債を発行すれば逆に金融緩和になるという具合だ。

そうした状況では、財政政策の出番(国債発行)であり、そうなれば、財政・金融一体発動になって、日本経済に好都合となる。

幸いなことに、日本の財政問題も、現時点で考慮しなくてもいいくらいだ。この点は、本コラムで再三指摘してきている。

 

さらに、国債を発行して財源調達すべき分野も、法律改正が必要だが、教育など未来への投資と言われる分野で多い。金利環境がいい現在は、未来への投資に事欠かない状況である。

というわけで、未来への投資として、国債発行による財政出動(自動的にこれは金融緩和にもなる)をすべきというのが、失業を増やさないための筆者の解である。

朝日新聞の論評が文中で言及しているシェアリングエコノミーは経済成長を促進するものであるため、朝日新聞の主張は支離滅裂になっている。いっそのこと、そういた新しい動きを利用するとともに、政府に国債発行による教育支出増などを提言し、さらに経済成長して、貧困をさらになくせという言うべきなのだ。