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美女4000人に30億円を貢いだ「紀州のドンファン」の壮絶人生

いい女を抱くために私は金持ちになった
野崎 幸助

一瞬のスキを突かれた…

前の晩に彼女と白浜のホテルで過ごした私は、この日の夕方に彼女と一緒に知人のパーティに出席する予定になっておりました。昼に所用があったため、ホテルから車で30分ほど離れた田辺の自宅へ彼女を連れて帰り、彼女に自宅で夕方まで時間を潰してくれるように頼んで、私は家を離れたのです。

前にも述べたように、独身の私は一人で2階建ての小さな一戸建てに住んでいます。掃除や洗濯をしてくれるお手伝いさんはいますが、常駐しているわけではないので一人暮らしと言っていいでしょう。

普段、交際クラブで紹介してもらった女性とはホテルで会うことにしており、自宅に呼ぶことはしないのですが、彼女とは東京でのデートを合わせると、すでに10回以上会っていました。気心が知れているつもりだったので、自宅でテレビでも見てもらって時間を潰してもらうことにしたのです。

2時間ほど出かけ、帰ってくると彼女の姿がありません。呼んでも何の返事もないのです。それどころか居間のクローゼットの棚にあった現金がなくなって、貴金属を入れていた高さ20センチ幅30センチほどの大きめの宝石箱も壊されて、中身がほとんどなくなっていました。そこには軽く100万円を超える高級時計や、ダイヤがちりばめられた指輪などの宝飾品が詰まっていたのです。

部屋の壁に掛けられていたルノワールやシャガール、藤田嗣治の絵はそのままでした。これは大阪の有名画廊から高価な値段で購入したもので、数千万円の価値がある本物と思っておりますが、真偽のほどはわかりません。

それはさておき、私がいないときに強盗でも入って彼女が連れ去られたのではないかと、嫌な予感が頭をよぎりました。しかし、私の家には盗難防止のために防犯カメラが何台もついていますし、警備会社のセコムとも契約していますが、外部からの不審者侵入の形跡はありませんでした。

慌てて彼女の携帯に電話をしましたが、つながりません。社員たちにも頼んで彼女を探し回った結果、南紀白浜空港から出発した午後の東京行きの飛行機に搭乗したことがわかったのです。

「お客様、大丈夫ですか?手から血が流れていますけど……」

空港に一人で現れた彼女の右手からは血が流れ、床に点々と染みが付くほどだったと空港係員から聞きました。

「大丈夫ですから」

彼女は出血を気にせずに、そう答えて搭乗したといいます。

たぶん、宝石箱を壊したときにケガをしたと思うのですが、それでも慌てて東京行きの飛行機に乗ったということで、彼女が盗んだ犯人であることを確信しました。

のちに和歌山県警に逮捕された彼女は、取り調べに対して最初、

「お金はもらったものだし、貴金属も持っていっていいと言われた」

と答えていたようですけれど、宝石箱を壊して負傷し、結局は逃げて私との連絡も断ったのですからそんな弁解は通りません。

あんなに大切にしていたのにどうして裏切ったのだろうと憤ってしまいました。今まで交際した女性は、私の目から見て信用できると思った方ばかりでしたし、これまで相手の女性が盗みを働くようなトラブルは一切ありません。女性を見る私の目が曇っていたのか、という落胆した気持ちにもなりました。盗難自体よりも裏切り行為が許せないという気持ちでした。

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