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エディー・ジョーンズ流「意識改革」のすべて〜だから日本は強かった
仕事にも役立つ勝つためのマインド

ラグビー日本代表を勝利に導いたエディー・ジョーンズの『ハードワーク 勝つためのマインド・セッティング』が好評だ。

「ジャパン・ウェイ」をキーワードに、日本人の長所を最大限に生かし短所を長所に変えるコーティングはラグビーだけとどまらず、ビジネスでも十分に応用できるテクニックである。

ヘッドコーチ就任後、エディー流の意識改革はどのように選手たちを変えていったのか、直接話を聞いた。

 
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なぜ日本代表が強くなったのか

―エディーさんがもつ「勝利の哲学」について書かれた本書は、ビジネスの現場などあらゆる場面で活用できる成功のノウハウが詰まっています。

ここで登場する話の根幹には、やはり「世紀の番狂わせ」といわれた、'15年9月19日のラグビーW杯南アフリカ戦の逆転勝利があるのでしょうか。

W杯で勝利する、という大きな目的を掲げること。本の中でも言っているように誰もが無理だと思うような目標を掲げることが大切です。そして、自分で判断して動く勇気と自信をつけるために綿密な準備を重ねること。それが結果として南アフリカ戦の逆転勝利へと結びつきました。

あの試合、私はキックで3点取れば確実だし十分だと思っていました。けれども選手たちは自主的にトライを選び、見事にトライを決めたのです。このように自分で判断し、行動することで成功を自ら手にした選手の姿を見て、私は大きな喜びを感じました。

―'12年4月、ラグビー日本代表のヘッドコーチに就任されました。就任当初、エディーさんの目には日本チームはどのように映ったのでしょう。

初めて日本に来て驚いたのは、マイナス思考に囚われている日本人があまりに多かったこと。選手たちも、様々な理由をつけて自分たちは弱いから勝てない、という思い込みをしていたんです。私がいくら強く「君たちは強くなる」と言い続けても「まさか」としらけたような表情をするばかりでした。

日本人全般に当てはまることですが、非常に謙虚な国民性を持っているがゆえに、自身を過小評価しすぎてしまう場合がある。自分の長所に気づき、マイナス思考を取り除くことが日本人にとって大切なことなんです。

―しかし一方で、日本チームならではの長所もあった。そこで、エディーさんが心血を注ぎ、完成させたのが、日本人らしさを生かした「ジャパン・ウェイ」でした。

日本人の長所には、勤勉さ、忍耐強さ、そして礼儀正しさがあります。そこで、これらの長所はそのままに生かし、かつ短所を長所へと変える必要があると考えたのです。

助かったことに、選手とのコミュニケーションにはそれほど苦労しませんでした。すでにお互いよく知る選手たちがいましたし、彼らが紹介しあってくれたおかげで、1週間のうちに、選手たちとの信頼関係を構築することができました。

そこで、選手たちの潜在意識の改革に乗り出したんです。それは、言葉で口うるさく言うよりも、日々何気なく目にするものの中にメッセージを込めるよう心掛けたのです。その中で、お互いを信頼し、フィールドでは機敏に動くこと、フィールドの外では常に誰に対しても礼儀正しくいることを柱としました。

国歌にプライドがなければ勝てない

―一連の「ジャパン・ウェイ」に基づく指導によって、選手たちは心身共に大きく成長していきます。

キャプテンのリーチ・マイケル選手に、チームのスター的存在の五郎丸歩選手らも、私がコーチに就任した当初は、目立たない、典型的な「日本の選手」だったのです。そんな彼らも徐々に自己主張をし、リーダーシップを取れるようになった。そして、責任感を持つ良い選手へと成長していきました。

―日本のリーダーの手本として、本書ではプロ野球・元読売ジャイアンツ監督の原辰徳さんが紹介されています。

彼は監督として非常にプロフェッショナルだった。わたしは彼から多くのことを学び、日本人選手には舵取りが必要ということを教わりました。

そして日本人がある一線を越えることができればものすごい力を出す、ということを教えてくれたのも原監督です。彼は素晴らしい監督で、知り合えたことに心から感謝しています。