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政治政策 ドイツ

ついに「難民批判」を解禁したドイツ政府の驚くべき変わり身

きっかけはベルリン・クリスマステロ

謹賀新年。

ドイツの元旦は一年の最初の日というだけで、新年は例年通り、除夜の鐘のかわりに爆竹で明けました。二日からは普通の日常が始まっております。

今年もこのコラムで、ドイツを中心に、EU全般の動き、そしてさまざまな個人的見聞なども盛り込んで、幅広く、ドイツの生の雰囲気をご報告したいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

ドイツが抱える矛盾

ドイツの一年はパーティーで暮れ、パーティーで幕が開く。多くの都市では、中心の広場にステージが設けられ、厳寒にもめげず大勢の人が詰めかけ、賑やかな戸外フェスティバルとなる。たいていすし詰め状態で、最後はカウントダウンで花火。とにかくきらびやかで騒音も激しく「happy new year!」の大騒ぎが延々と続く。

一昨年、ケルンの駅前広場でたけなわだった大晦日の野外パーティーが、集団婦女暴行のるつぼと化したことは記憶に新しい(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47293)。

何千人ものアラブや北アフリカ風の男性(被害者の証言)が女性を取り囲み、好き放題した挙句、スマホやお金を盗み、最終的に被害届は800件を超えた。警官はあまりの犯罪者の多さに、ほとんど何もできなかった。監視カメラは性能が悪く、役に立たず。

その後、犯人たちの多くが難民としてドイツで保護されていた人たちだったということがわかり、しかも、当局がその事実を隠そうとした動きも判明し、ドイツ人は怒った。結局、罪が確定したのはわずか数人。以後、ドイツ人の難民に対する感情が急激に変化したが、当局はあくまでも、難民を十把一絡げに犯罪者扱いしてはいけないと国民を諭し続け、メディアもそれに倣った。

ところが、去年の暮れも押し迫った12月19日、やはり難民としてドイツに入っていたチュニジア人が、ベルリンのクリスマス市にトラックで突っ込み、計60人以上もの市民を殺傷して以来、政府とメディアが示し合わせたように難民報道の方向を転換し始めた(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50556)。

まず、難民にどれだけの経費がかかっているかということが火急のテーマとなった。難民の衣食住、教育、医療、お小遣いまで、人道大国ドイツでの難民の待遇は世界一良く、出費ももちろん多い。財務大臣の発表では、2016年、難民にかかった経費は300億ユーロ。

そればかりか、いくつもの名前を使い分け、複数の自治体で何重にも生活保護を受けている難民がいることも報道された。財源はすべて地方税と国税、つまり税金である。

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二つ目のテーマは治安の問題。2015年、難民の波がピークだったとき、そのどさくさに紛れて危険人物(テロリストや凶悪犯)が入り込む可能性が常に指摘されていたが、これまでその意見は“人種差別的である”とか“根拠がない”と一蹴されてきた。ところが、今になって突然、ドイツには危険人物としてマークされている難民が500人以上もいるという話が浮上してきたのである。

 

危険人物の半分は拘束されているが、あとの半分は法的問題があり拘束できない。ベルリンテロの容疑者であるチュニジア人も危険人物のうちの一人だったが、自由に動き回っていた(犯行の4日後にミラノで見つかり射殺)。

一人の人間を24時間監視するには3交代で3人では済まず、監視員の休暇、休日、さらに難民が移動したときに対応する人員、情報のコーディネーターなどを含めると、30人近い人間が必要になるのだそうだ。つまり、監視はまるで追いつかない。国民には知らされていなかった由々しき現実だ。

難民のうち犯罪者の割合の多いのは圧倒的に北アフリカ系で、本来なら祖国に強制送還するべきである。ところが、母国の側がなかなか受け入れない。それどころか、チュニジアの首都では市民が立ち上がり、「犯罪者などに帰ってこられたら治安がさらに乱れる」と、送還反対のデモまでしている。

ドイツ人は当然、「なぜ、ドイツが外国の犯罪者を引き受けなければならないのか」と憤るが、あちらはあちらで、「難民は気の毒だと言って、ドイツが好きで入れたんじゃないか」と言わんばかりだ。

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