人口・少子高齢化 AI
人工知能時代に生き残るのは、意外にも「こんな人たち」だった
実は、能力がない人ほど得をする…?
鈴木 貴博

仕事のポジションが激減する結果…

<第二の予測:七年後、サラリーマンが若手芸人化する未来がやってくる>

第一の予測を読んで、安堵している読者も多いかも知れませんが、世の中そう甘くありません。

これまでのサラリーマンは、能力が高くて日々努力や勉強を重ねている人ならば、それなりに組織の中で生き残っていけました。しかし、人工知能が一般化する時代はそれだけでは生き残れない時代になりそうなのです。

タレントの世界を考えれば理解しやすいかもしれません。タレントの世界は我々一般人に比べるととても厳しい世界です。若手芸人の場合、才能があって、ネタも面白く、日々努力を続けている人でも、それだけでは生き残っていけないという現実があります。

なぜそうなるのでしょうか? それは芸人がサラリーマンとは違い、いい仕事の数が少ないからです。芸人として売れるためには人気番組のレギュラーに起用されることが重要だとします。しかしそのポジションの数は限られていて、チャンスは多くはありません。

 

一定の才能が必要なのは言うまでもありませんが、売れるためには芸を磨くだけではだめで、先輩たちとの付き合いも重要になります。楽屋にあいさつにいく。先輩の出演した番組や舞台についてこまめにメールで感想を伝える。夜中に召集がかかったら15分で西麻布の焼肉屋に集合する…。そういった努力があって初めて、先輩に顔や名前を覚えてもらえて、何かの機会にちょっとした仕事を分けてもらえるようになります。

この若手芸人の日常は、今のサラリーマンから見れば「別の世界」の出来事でしょう。芸能界というのは、なにしろ志望する人数が多い割に、売れるために必要となる仕事のポジションの数が圧倒的に少ない。芸人だけでなく、役者、歌手、アイドルなど芸能界で活躍しようと志望する若者はみな「いい仕事のポジションの競争倍率がめちゃくちゃ高い」世界で戦っています。

だから若手の役者が大物俳優の身の回りを世話したり、大御所歌手の誕生会には若手芸能人が欠かさずに顔を出さなければいけなかったり、アイドルが事務所の人と一緒に日々あいさつまわりに精を出したりといった、サラリーマンとは違う努力に大量の時間を使わなければなりません。

しかし、それが「違う世界」なのは今のうちです。サラリーマンの世界でも仕事のポジションが激減すれば同じことが起きるようになります。

いよいよ人工知能の話に入ります。仮に人工知能が発達した結果、会社の中でやらなければいけない仕事が激減したとします。10人で仕事をしていた部署で、来年は8人、さ来年は6人という具合に毎年ふたりずつ社員がいらなくなる。そんなことが自分の部署だけでなく、全社で、そして日本全体で起き始めます。

【PHOTO】iStock

会社でそのように人員削減をするということが決まると何が起きるのか?これは外資系の巨大企業ではよく起きていることですから、その様子を見るとどんなことが起きるのかがわかります。外資系企業でリストラを行う場合、各部署で今年、何人削らなければいけないか人事部から指示がはいり、部長、課長レベルで各部署の中から辞めてもらう人を決めていきます。

これは課長にとってとても心が痛む仕事なのですが、役割なので仕方ない。粛々と人選が進みます。

さて、このリストラの現場を眺めてみると興味深い現象が起きます。初期のリストラではいわゆるローパフォーマー、つまり職場であまり役にたっていない人に辞めてもらうというリストアップがなされます。しかし会社がさらにもう一段リストラを要求すると、能力が同じような人の中から辞めてもらう人を選ばなければならなくなります。

そういった会社に嫌気がさして進んで辞めていく能力が高い社員が散見されるのもこの段階ですが、そうしたプロセスの中で誰が残っていくのかを見ていくと、最終的には上司のお気に入りというか、仲間とも言うべき人間関係になっているひとたちが組織に残っていくという現象が起きます。

外資系企業では数名のグループが特定のボスの傘下に入って強い結束を持つという人間関係が出来上がっていきます。ボスが別の外資系企業に転職すると、その後、そのグループの人間が続々と同じ企業に転職していくという現象も起きるのです。

この外資系企業で起きているような人間関係が、やがて人間の仕事の数が激減し始めると、普通の企業のサラリーマンの世界でもあたりまえのものになるでしょう。