人口・少子高齢化 AI
人工知時代に生き残るのは、意外にも「こんな人たち」だった
実は、能力がない人ほど得をする…?

ゲームの分野では既に人間を超えたと言われるAIですが、AIとロボットの進化によって、今からそれほど遠くない未来に「技術的失業」と呼ばれる大規模な人類規模の失業が起きることが危惧されています。

外資系コンサルティングファームを振り出しに長年にわたり企業のコンサルを行っている「百年コンサルティング」代表の鈴木貴博氏は、ここ数年、大手人材会社のコンサルティングを通じて、技術的失業に関心を持ち、研究を続けています。そこから導き出される雇用の未来と、会社組織がどうなるか、鈴木氏の導き出した「ある結論」とは…?

「特別な人だけ生き残る」は間違い

今から10年ないしは15年後に、人工知能による大失業がやってくると言われています。一説によれば日本人の仕事の半分は人工知能やロボットにとって代わられることになるそうです。その時代には単純計算すれば日本人の半分は失業者ということになる、とも言われます。

「これからの未来は誰でもできるような仕事しかできない人はダメだ。自分にしかできない特別なスキル(能力)を持っている人だけが生き残る」

よく経営コンサルタントなどが、こうした指南をすることがありますが、人工知能の発達についての情報を総合すると、どうやらその教えは怪しいようです。人工知能の未来ではもっと違った、そしてサラリーマンにとって意外な形で到来します。

それならどんな未来がやってくるのでしょうか? 来るべきサラリーマンの未来について、3つの観点から予測してみたいと思います。

<第一の予測:10年後、上司が没落貴族になる未来がやってくる>

人工知能とロボットが発達すると、まず単純な仕事から消滅していって、単純な仕事しかできないサラリーマンが失業すると言われています。

実際、海外の著名な大学から発表された「近未来に無くなっていく仕事のリスト」を眺めると、簡単な仕事が世の中から無くなり、専門性の高い仕事をしていなければ仕事がなくなっていくという予測が、その根拠となっていることがわかります。

しかし、人工知能の世界では今、ディープラーニングという学習能力の急速な進化が起きています。そして近未来においては、実は上司のように「頭のいい人の仕事」の方が先に人工知能に置き換わるのではないかと言われ始めました。

 

私が携わっている経営コンサルタントという仕事を例に、お話しをしましょう。

経営コンサルタントという仕事は、その大学の研究では「2030年にはまだ無くならない仕事」のリストに入っているのですが、それは怪しいと思っています。

使いっぱしりがトクをする?

経営コンサルタントに依頼される典型的な仕事のひとつが、「わが社のこの製品を続けるべきか、もう止めてしまうべきか?」という依頼です。時代の変化で商品やサービスが売れなくなる。このまま続けても赤字が増えるだけという状況で、経営陣も判断に困り果てて経営コンサルタントにアドバイスを求めてくるのです。

さてこの問題を解決する経営コンサルタントのチームにもボスと使いっぱしりのコンサルタントがいます。このような問題の場合、使いっぱしりのコンサルタントが手分けをして顧客の声を集めたり、流通業者の声を集めたり、競争企業の情報を集めたり、社内の意見をまとめたりといった、いわば手足のような仕事をします。特に現場で集める一次情報は重要で、その商品にかかわる環境に思わぬ変化が起きていることがわかったりするのです。

こうして集まった膨大な情報を眺めながら、ボスのコンサルタントが、その商品を続けたほうがいいか、それとも止めたほうがいいか。続ける場合はどのように商品の売り方を変えるべきかを検討します。このボスの頭脳労働の方が付加価値は高いので、経営コンサルタントの社会ではボスの方がはるかに高い給料をもらっています。

しかし2030年、人工知能が発達すると状況は一変します。このような判断をする能力自体を人工知能がディープラーニングで獲得するようになりそうなのです。

判断情報が膨大なほど人工知能は人間よりも有利です。市場全体ではこの商品は競争力を落としているが、特定の顧客や地域、国ではまだ高い競争力を持っている。そのような領域にフォーカスした場合、売上規模は半減するが利益は大幅に増える、また成長率も高い。そういった領域を発見することが経営コンサルティングの定石ですが、人間と比較して人工知能の方が、直観に頼らない斬新で複雑な解決策を発見することができるのです。

この時に、人工知能にはどうしてもできない仕事が、現場で起きている一次情報をかきあつめる仕事です。倉庫で管理をしているおじさんが発見したある事実とか、ある特定顧客を担当している営業マンだけが気づいている秘密とか、そういった足で稼がないと発見できない情報は、ネット上には存在しません。

そのため2030年の経営コンサルティング業界で必要な社員は、使いっぱしりのコンサルタントだけという状況になっている。情報さえ集まればボスは不要で、あとは人工知能が一番いい判断を下せるようになるのです。

上司が持つ権力の根源は「判断力」にあります。その判断力が今から10年後ぐらいには、人工知能に任せたほうがよほど良い判断をするように人工知能の学習能力が上がります。課長、部長、いや場合によっては経営者といったポジションの仕事が世の中から先になくなって、会社に必要な仕事は社員の仕事だけだという時代がまもなくやって来るのです。

そしてそのときに、なにが起きるのか。それは上司と部下の関係の逆転です。会社組織の中で生き残れるのは、部下だけという時代がやってくる。上司はみな、組織の中で生き残るためには部下の仕事をするしかありません。

しかし長年上司の仕事に慣れた人は、部下の仕事を任されてもうまくこなすことはできないでしょう。こうして多くの上司たちが仕事を失い没落する。そんな時代がこれから10年後には待っているのです。