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「山下財宝」を追え! 過熱するトレジャーハントに比政府が法規制
単なる都市伝説か、それとも…
大塚 智彦 プロフィール

水面下で続く不法発掘

こうした政府や地方自治体による規制強化で、山下財宝探しは一時的に沈静化したように見えた。

しかし、事実は異なり、法規制ができたことで表面上は許可を得た業者や個人が整然と発掘作業を進める一方で、不法な発掘業者は水面下で、より巧妙に、昔と変わらない方法で発掘を行っているが分かってきた。

フィリピンの地元紙「インクワイアー」が2015年9月に衝撃的な記事を掲載した。

①2015年にバギオ市の観光地でもあるタムアワン村でハンターが村当局と「発見物は山分け」との条件で発掘を実施

②2013年にはベンゲット州ラ・トリニダッドのピコ村、ベタッグ村で非合法に行われたハンターの発掘を政府の鉱物地球科学局が調査

③政府の環境天然資源省の元官僚がかつて中央政府の役人が公共事業を口実にして山下財宝探しを堂々とやっていたと告発

④別の政府官僚はそうした違法発掘で発見した貨幣でバギオ市内に土地を購入したことがあると告白

いずれの発掘作業も2007年の法規制後に実施されたものであるにもかかわらず、また政府や地方自治体がなんらかの形で発掘に関与していながらも、正規の許可を受けていなかったという不正を次々と明らかにしたのだ。

永遠に存在し続ける「夢」

山下財宝について近年の研究では「膨大な隠匿物資、金銀宝石という意味での『財宝』は風聞の域を出ない」というのが定説になっている。

 

しかし、日本軍のマニラ撤退時に、ニッケルなどの貴金属、フィリピン人捕虜から接収した宝飾品や時計類、紙幣などが個人レベルや各部隊レベルで持ち去られたことは否定できないという。

そうしたブツが日本軍の撤退に次ぐ撤退、全滅や戦死、そして刑死、帰還という段階でルソン島の山中や洞窟、民家などに意図的に隠されているか、やむなく放置されている可能性は「完全には排除できない」という見方も根強い。

とはいえ「多額の費用と労力をかけて発掘した結果、万が一発見できたとしても、その現在の価格、価値ではまったく割に合わない」(フィリピン人地元紙記者)というのが現実だという。

それでもなお、山下財宝を探し求めるトレジャー・ハンターはフィリピン全土で約200チーム存在し、現在も活動中という。

米フロリダ沖に財宝を満載して沈没したスペインの艦船や、ナチスドイツが再興を企図して欧州各地に隠匿した財宝や美術品、そして江戸幕府が密かに日本中に隠したとされる徳川埋蔵金などの「お宝伝説」が数多く存在し、人々の夢と空想、欲望をかきたてている。

フィリピンの山下財宝もその一つ。発見されないからこそ、永遠に存在し続ける「夢」なのかもしれない。