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2017年ノーベル賞を獲る日本人はこの人だ!

最右翼は「リチウムイオン電池」だが…

アレルギーを治す夢の細胞

大本命は'10年以来、受賞のない化学賞だ。スマホやパソコンのバッテリーに利用されている「リチウムイオン二次電池」を開発した旭化成顧問の吉野彰氏(68歳)は最もノーベル賞に近いといわれている。

「二次電池とは、繰り返し充電して使える電池のことです。他の二次電池は、最後まで使い切ってから再充電しないと、次から電圧が下がってしまう『メモリー効果』の問題がありますが、この電池ではその影響がほぼありません」(吉野氏)

デジタル機器の急速な発展により、小型で大容量なリチウムイオン二次電池の需要が急増。現在、その市場規模は2兆円以上ともいわれる。

しかも、バッテリーとして使われている電気自動車が普及しはじめたことで、クリーンエネルギーに関心の高い、ノーベル賞の本場・ヨーロッパでも再評価されていることが追い風となっている。

3年連続受賞の期待が高まる生理学・医学賞では、「免疫学」がキーワードになりそうだ。

大阪大学の坂口志文特任教授(65歳)は、「制御性T細胞」の発見者。体内の異物を排除する免疫系は人間にとって非常に重要な機能だが、ときに過剰に働き人体に影響を与えてしまうことがある。坂口氏は、制御性T細胞が、その過剰な反応を抑制する役割を担っていることを突き止めた。

実際、アレルギー患者が少ないアメリカ・アーミッシュの人々は制御性T細胞が多いという報告もある。研究が進めば、花粉症をはじめとするアレルギーの予防・治療が可能になるかもしれない「夢の細胞」だ。

「坂口氏はノーベル賞受賞者を数多く輩出した、『ガードナー国際賞』と『トムソン・ロイター引用栄誉賞』を'15年に受賞しており、非常に有力な候補です」(サイエンスライターの緑慎也氏)

 

高額ながら高い効果が見込めると話題の抗がん剤「オプジーボ」。人間の免疫機能を利用したこのクスリは、京都大学の本庶佑名誉教授(74歳)が発見した「PD-1」というタンパク質がカギとなり開発された。

「免疫細胞の攻撃を受けるがん細胞は、それに対抗して、免疫細胞の攻撃にブレーキをかけようと働きかけます。そのブレーキ役こそが『PD-1』。オプジーボは『抗PD-1抗体』と呼ばれるクスリで、ブレーキ役をさらに抑え込むことで、免疫細胞が正常に働くようにしているのです」(緑氏)

日本では、価格が社会問題となっているが、それと研究の価値は別物。医学界への貢献は計り知れないものがある。

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