企業・経営

東芝に激震が走った「社内アンケート」驚きの結果

幹部と社員にこんな格差があったとは…

37%もの開きが

東芝が経営層から一般社員までを対象に実施したアンケート結果が社内で大きな話題になっているという。

「昨年度に比べて会社の組織風土は改善してきたか」という問いに対して、そう思うと回答した人の割合はマネジメント層で67%だったのに対し、管理職層で51%、非管理職の役職者で38%、一般社員で30%にとどまったというのだ。

東芝は2015年に巨額の会計不正が発覚したが、経営トップが発してきた「チャレンジ」という言葉を受けて、様々な部門で利益のかさ上げが行われていた。その「組織風土」が現場に近いほど、今になっても「変わっていない」と捉えられている、ということだ。社内改革の旗を振って来た経営層と、現場との認識ギャップがあまりにも大きい事に、経営幹部の間では衝撃が走っているという。

東芝がこのタイミングでアンケートを実施したのは、「組織風土は大きく変わった」という事を対外的にアピールするためだったとみられる。会計不正によって東芝は、東京証券取引所から「特設注意(特注)市場銘柄」に指定されてきたが、1年たった2016年9月に「内部管理体制確認書」を東芝が提出、指定解除を求めていた。

ガバナンスの見直しなど「内部管理体制」を改善し、社内のムードは一変したというのが東芝の立場だった。一般社員も含め、過半の社員が「改善した」と答えたならば、それを証明する傍証になるはずだった、というわけだ。 

 

だが、その思惑は外れる。東芝の特注指定解除を審査する東証の自主規制法人(理事長、佐藤隆文・元金融庁長官)が12月19日に理事会を開き、東芝の特注指定の期間を延長することを決めたのだ。

「コンプライアンスの徹底や関係会社の管理等において更なる取り組みを必要とする状況が存在しており、これらの改善に向けた取り組みの進捗等について引き続き確認する必要がある」とのことで、内部管理体制が改善したとは言い切れない、と判断されたのである。この点、社内のアンケート結果にみられる現場の意識と共通しているともいえる。
 
中でも自主規制法人の理事たちが問題視したのが、11月に子会社の売上高の過大計上が発覚したこと。子会社の東芝EIコントロールシステム(福岡市)で2003年以降、ひとりの営業担当者が10年以上にわたって継続的に架空売上高を計上していたことが発覚。注文書や検収書を偽造して16年9月末までに累計で5億2000万円を水増ししていたという。

特注指定の解除を求めていた最悪のタイミングで発覚した不正会計だったが、それを明らかにした11月11日の中間決算発表の会見では、平田政善専務が「内部統制が有効に機能し始めた兆候でもある」と発言していた。苦しい弁明とも捉えられたが、この発言に東証の関係者が激怒したという。

「東芝のような日本を代表する老舗企業を、東証が上場廃止になどできるはずがない、という不遜さを感じた」というのだ。結果、理事の多くが特注解除に否定的な意見を述べ、延長が決まったという。 

上場廃止の危機はまだ去っていない

東芝は今後、特注指定から1年半がたつ2017年3月15日以降に、再度「内部監理体制確認書」を提出する。東芝株についてはこの3月15日のタイミングで「監理銘柄」にも指定されることが決まっている。上場廃止になる可能性がある銘柄として投資家に注意喚起するためだ。
 
再提出された確認書を審査し、6月頃までに東証の自主規制法人理事会が再度、特注指定を解除するかどうかを判断する。その時期までに東芝の社内体制が「改善した」と認められなければ、上場廃止となる。
 
特注銘柄の指定継続をうけて、東芝は「当社は内部管理体制等の確立に努め、特設注意市場銘柄の指定解除に向けて、全社一丸となって最大限の努力をしてまいります」とするコメントを出した。具体的にどんな内部管理体制の改善策をとるかについては、今後公表するとしている。 

 

そんな矢先、メディアの報道が再び東芝を揺るがした。12月27日、日本経済新聞などが「米国の原子力発電事業で1000億円規模の特別損失を計上する見通し」だと報じたのである。

原子力子会社である米ウエスチングハウス(WH)が2015年末に傘下に収めた原発サービス会社、CB&I ストーン・アンド・ウエブスター(S&W)の買収に伴うもので、報道を受けた発表では「12月末間近のこの段階で、のれんが数十億米ドル規模(数千億円規模)にのぼり、当該のれんの一部または全額減損を実施することで、当社業績への影響を及ぼす可能性が判明した」としたのだ。2016年9月末の株主資本は3632億円で、減損金額が膨らめば債務超過に陥る可能性も出てきそうだ。

もともと米WHの減損問題は会計不正の発覚時点からメディアなどの追及を受けてきた。東芝メディカル・システムズなどの事業売却に合意した2015年春の段階になって初めて、減損の必要性を認めている。まさに泣きっ面にハチの状態と言える。
 
本当に東芝は変われるのか。東芝が作る決算書は信用できるのか――。再び東芝のバランスシート(貸借対照表)に株主や投資家の注目が集まることになる。

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