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国際・外交 週刊現代 中国 アメリカ
トランプvs.習近平 「悪役」同士つかみ合いのケンカが始まった!
ひとつの中国 ?それがどうした

「奴は思い上がっている」

「特朗普と徹底して戦え!」

12月11日の日曜日深夜、北京の中南海(最高幹部の職住地)に、習近平主席の怒号が響いた。

事の発端は、12月2日、ドナルド・トランプ次期米大統領が、蔡英文台湾総統からの祝福の電話を受けたことだった。在北京ジャーナリストの李大音氏が語る。

「アメリカは1979年に、台湾と断交して中国と国交を結びました。それ以降、台湾とは音信不通だったわけで、こんな事態は前代未聞。すぐさま習近平主席に報告されました。すると習主席は、激怒こそしたものの、『もう少し様子を見よう』と、自制を促したのです」

だが、それから9日後、『フォックス・ニュース・サンデー』に出演したトランプ次期大統領が、再び中国を挑発した。

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「貿易やその他の実務上の交易を達成できないのであれば、アメリカはなぜ『一つの中国』政策を甘受しなければならないのか。『一つの中国』政策を維持するかどうかは、中国の通貨政策、南シナ海での海洋進出、北朝鮮に圧力をかけるかなどを見極めてから決める」

これは強烈な中国へのパンチとなった。李氏が続ける。

「中国とアメリカは、1972年から国交正常化交渉を始めましたが、台湾が中国の一部分かどうかという、いわゆる『一つの中国』問題を巡って、7年間も揉めた。

結局、アメリカは、『中国が「台湾は中国の不可分の領土」と主張する「一つの中国」の立場を尊重する』ということで決着しました。『一つの中国』をアメリカと世界に認めさせないと、共産党政権の正当性が根本から覆るのです」

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中国共産党中央機関紙『人民日報』傘下の国際情報紙『環球時報』(12月12日付)は、「トランプよ、お聞きあれ……『一つの中国』は売買できない」と題した社説を掲載した。

〈 次期アメリカ大統領は、外交を理解しないガキだ。「一つの中国」政策は、売買できないものだ。

単なる商人であるトランプは、何にでも値段を付けられ、かつ自分の実力は強大で、自分の好きなように売買できると思い上がっているようだ。それならアメリカの憲法にも値段を付けて、サウジアラビアやシンガポールなど盟友の政治制度と売買してみろ。

中国はトランプと、がっぷり四つの闘争を展開していくべきだ。奴にクギを打ちつけて、中国を痛めつけてはならないと思い知らせてやるがよい。中国は十分な弾薬を準備していく…… 〉

社説では今後、中国が北朝鮮に武器輸出することや、台湾を武力攻撃することまで示唆している。

トランプ次期大統領が就任するのは、'17年1月20日。だが就任前から早くも、トランプと習近平のケンカが始まっている。

 

この両巨頭のケンカ、今後どこまでエスカレートしていくのか。

「もしもトランプ大統領が、就任後も引き続き『一つの中国』を取引材料に使うのなら、習近平主席は遠からず、アメリカとの断交を宣言します。14億の中国人も、習主席についていくと思います。

中国には人口100万以上の都市が142もあります。万が一、米中が戦争になったとしても、アメリカのほうが先に音を上げます」(李氏)

トランプと習近平は、似た者同士の「悪役」。このままでは本当に「つかみ合いのケンカ」が始まる危険がある。

「週刊現代」2016年12月31日・1月7日合併号より