自衛隊「特殊部隊」創設者が受け継いだエリートスパイのDNA

島地勝彦×伊藤祐靖【第1回】

撮影:立木義浩

<店主前曰>

2016年もたくさんの本を読んだが、『国のために死ねるか』(伊藤祐靖著、文春新書)のインパクトはあまりにも強烈だった。日本にもまだこんな男らしい人間がいたのかと、感嘆したものである。

わたしは常々、天皇陛下以外ならどんな方にもじかあたり出来ると確信している。伊藤祐靖さんに会って話をしてみたい気持ちが募って、文藝春秋に電話を入れようかと逡巡していた矢先、なんと伊藤さんの方からが、伊勢丹のシガーバー「サロン・ド・シマジ」にやってこられたのである。

わたしは欣喜雀躍し、担当のヒノに成り代わってこの対談の約束を取りつけた。伊藤さんはその場で快諾してくれた。わたしの薦めで『国のために死ねるか』を読んでいた常連のお客さまも、伊藤さん本人の登場に驚愕していたのはいうまでもない。

* * *

伊藤 ここが噂のサロン・ド・シマジ本店ですか。

ヒノ はい。マスターが厳しくて普通の人はなかなか入れてもらえないんですが、そう呼ばれています。

伊藤 エレベーターを降りたら、すぐここだとわかりました。廊下にまで葉巻の香りが漂っていましたから。

シマジ さすがは伊藤さん。3時きっちりにいらしゃるあたりは、やっぱり軍人ですね。こちらにいらっしゃるは写真家の立木義浩先生です。

伊藤 伊藤です。お名前はもちろん存じ上げています。

立木 立木です。よろしくね。

ヒノ 伊藤さん、まずはマスターご自慢のネスプレッソをお淹れします。召し上がってください。

本日のカプセルは人気の高いアルベジオです。中南米産のアラビカ豆のブレンドでして、フルボディの一杯です。豆を長時間ローストすることで、木のような、ココアのような焙煎香が引き出され、コク深い味わいが特徴です。

伊藤 うーん、美味しいです。たしかにウッディな香りがしますね。お代わりをいただけますか。自分はコーヒー大好き人間なんです。

シマジ どうぞ、どうぞ、何杯でもお淹れします。

立木 じゃあ伊藤さん、カップを持ってシマジと一緒にレンズをみてくれますか。そうそう、はいOK。

伊藤 早いですね。もう終わりですか。

シマジ どの世界でもプロは仕事が早いものです。でも、これからが本番ですよ。

ところで、伊藤さん、わたしはあなたの本を2回読みましたが、2回とも感動し大きな感銘を受けました。まだ日本に伊藤さんのような背筋がシャンとした侍が残っていたことに安堵さえ覚えました。

伊藤 ありがとうございます。光栄です。

シマジ わたしの尊敬してやまないウィンストン・チャーチルがこう書いています。「自分の国を己の血を流して守らない国は、いずれ消滅する」と。伊藤さんはそれをお分かりになる方だとお察ししますが。