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テニス
打倒ジョコビッチ!錦織圭が世界トップ3に入るには何が必要か
「超負けず嫌い」のその先へ

「生き返るには少し時間がかかる」

終わり良ければすべて良し、という。年の瀬だけに、そんなことわざが頭に浮かぶ。

テニスの錦織圭の2016年シーズンに当てはめると、このことわざは当てはまらなかった。締めくくりの舞台は男子プロツアーのシーズン成績上位8人だけが出場できるプロテニス選手協会(ATP)ワールドツアー・ファイナルだったとはいえ、3連敗での幕引きには、しりすぼみ感が残った。

直後の記者会見での本人の肉声にも、そんな心情がにじんだ。

「やっぱり、うーん、うれしくはないですね。喜ばしい終わり方ではないので」

錦織の独特の表現も飛び出した。

「生き返るには少し時間がかかると思います」

精も根も尽き果てて、シーズンというゴールのテープを切った印象。それは、エネルギーを出し惜しみせず、コートで120%の自分を吐き出して戦う錦織らしさでもある。

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もっとも、長丁場のシーズン全体を振り返ってみれば、充実の一年だった。

「安定度」という尺度でとらえるなら、自己最高のシーズンだと本人も振り返っている。世界ランキング5位で新シーズンの年明けを迎えるのは、全米オープンで準優勝した翌年の15年以来。そのときと同じ自己最高位だ。

シーズン58勝は自己最多で、これは世界ランキング1位のアンディ・マリー(英国)の78勝、同2位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)の65勝に次いで、3番目に多かった。

 

単純な勝利数とは別のバロメーターで測っても、頼もしいデータがはじき出される。ATPが16年シーズン半ばから発表するようになった指標が「アンダープレッシャー・レーティング」。直訳するなら、「重圧下での強さを示す格付け」だ。

ブレークポイントでのポイント奪取率+ブレークポイント・セーブ率+タイブレーク勝率+ファイナルセット勝率の4項目を掛け合わせたランキングで、要は、「ここ一番での勝負強さ」と言い換えられる。

1位ジョコビッチ、2位マリー、3位がリオデジャネイロ五輪銀メダルのフアンマルティン・デルポトロ(アルゼンチン)、そして4位に錦織の名前がある(2014年に限れば錦織が1位)。

けがで断続的な長期離脱を繰り返してきたデルポトロは世界ランキングこそ38位(12月26日時点)だが、今季はウィンブルドン選手権で全米オープン覇者となるスタン・バブリンカ(スイス)、リオ五輪でジョコビッチ、さらにデビス杯でマリーを破った地力は疑いの余地がない。

世界のトップ10にこの3シーズン定着している錦織は、文句なしに一流プレーヤーだが、まだ未踏峰の世界のトップ3に食い込むには、こうした重圧下にめっぽう強い選手を上回る勝負強さが不可欠になる。

錦織自身、百も承知だ。ツアー・ファイナルを終えた直後の今季の総括で、こう言っていた。

「歳を重ねるごとにテニス、ショットが安定してきている。どんどんミスが減っている。その中で、より集中しなきゃいけないポイントをもう少し見極めたり、ブレークポイントをしっかり取れたりできるようにしたい。一番はメンタル面だと思います」

サーブに課題を残すとはいえ、ショット全般、試合の組み立てについては自信がついた。世界の頂点へのファイナルアタックをかける上で養うべきなのは、精神面に収斂されるようだ。