経済・財政

日本の住宅が「資産」ではなくなる日 〜空き家急増という大問題

いよいよ大量相続時代を迎えて…
野澤 千絵 プロフィール

特例市の空き家率ランキング

長期的に見て、人口規模がそれなりにある市町村の中で、まちがスポンジ化するリスクを私が感じるのは、空き家の量が増加するスピードが非常に早いにもかかわらず、立地に関係なく開発規制の過度な緩和を行い、農地エリアへと居住地を拡大し続けている地方の産業都市が多い。

例えば、人口規模がそれなりにあるまちとして、全国の特例市37市(2014年法改正で施行時特例市と呼ばれている)の空き家率を調査してみると、平成25年の空き家率(図表1)は、全国平均が13.5%である中で、1位が甲府市(20.8%)、2位が松本市(16.4%)、3位が太田市(16.1%)、福井市(16.1%)、水戸市(16.1%)である。逆に、空き家率が低いのは、所沢市(9.6%)、茨木市(9.7%)、加古川市(10.1%)である。

ひと口に空き家といっても、様々なタイプがあり、国の住宅・土地統計調査では、「賃貸空き家」「売却用空き家」「二次的住宅」「その他空き家」という4つの類型があるが、これらの中で、空き家の量が増加するスピードとして着目すべきは、「その他空き家」である。

「その他空き家」は、転勤・入院などにより居住世帯が長期にわたって不在の住宅や、建て替えなどのために取り壊す予定の住宅、空き家の区分の判断が困難な住宅のことで、相続後にきちんと引き継がれずに放置されるなど、いずれ周辺の住環境に影響するような「問題空き家」へと発展する危険性があると考えられている。

そこで、空き家率が上位5市の「その他空き家」に着目して、詳細に分析していこう。

甲府市と太田市の共通点

空き家率が上位5市のうち、平成20~25年(3)の5年間の「その他空き家」の量が増加するスピード(図表2)を見ると、福井市以外は総じて、「その他空き家」の量が増加しており、その増加スピードが顕著に早いのが、甲府市と太田市である。

また、5年間の市全体の住宅総数の増加率(図表3)を見ても、太田市は1.10倍、甲府市は1.06倍と、両市ともに住宅総量が5年間で約1割も増加しており、新築住宅の開発圧力はそれなりにあると見てよい状況だ。

しかし、両市は、全国的に見ても、空き家率が高く、かつ「その他空き家」が早いスピードで増加していることから、これまで多額の税金を投入して整備してきたような、古くからあるまちでは――老いた住宅・老いた居住者が多いこともあり――「その他空き家」が急増、「まちのスポンジ化」が今、まさに進行していることが推測される。

 

これら2つの市には共通点がある。